2023年4月4日、センシンロボティクスは清水建設と共同で、建設中のシールドトンネル坑内における巡視点検業務に自律飛行型ドローンを活用する実証実験を実施したことを発表した。GNSS(※1)が届かないトンネル坑内でも安定したドローンの自律飛行を実現し、稼働中の現場でも点検業務への活用が可能になる。

※1 GNSS:全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System)の総称。米国のGPS、日本の準天頂衛星QZSS、ロシアのGLONASS、欧州連合のGalileoなどがある。

 シールドトンネルの現場は広大で、坑口から切羽までの距離は最大7kmにもなる。工事が進むにつれて坑口から切羽までの距離は伸び、点検のための巡視業務負担が大きくなり、現場見学者向けの現場案内も負担になっていることが課題であった。

 実証実験では、Skydio機専用のドローン基地「Skydio Dock」を使った自動飛行ルートの作成およびクラウドプラットフォームを経由した自律飛行を行った。Skydio Dockは、現地に赴くことなくドローンの自動離着陸が可能。遠隔地からでも離陸ボタンを押すだけで飛行を開始し、狭い通路や機器がある環境も自律的に飛行して元のDockまで自動帰着、自動充電を行う。AIやVisual SLAM(※2)による自律飛行技術により、ベルトコンベアなどの近づけない機器と一定の距離を保ちながら点検業務が可能。遠隔でもリアルタイムに映像を確認できるため、休日や夜間巡視業務の代替、見学者向け案内業務の工数削減にもつながるとしている。

※2 Visual SLAM:Visual Simultaneous Localization and Mapping。カメラ画像を中心とした自己位置推定と環境地図作成技術。

遠隔での映像確認 ①
遠隔での映像確認 ②
Skydioからの映像 ①
Skydioからの映像 ②

 2023年度にまずは1台の試験導入を予定しており、期待した導入効果を得られた場合は、工事が進み距離が延伸した際にも台数を増やすことで業務効率化を継続するとしている。

 センシンロボティクスは、完全自動運用型ドローンシステム「SENSYN Drone Hub」による自動運用のノウハウを活かした導入後の伴走支援を行う。また、Skydio Dockを設置するだけでなく、同社が提供するプラットフォーム「SENSYN CORE」と連携させることでデータ取得、管理、解析といった業務の自動化を実現するとしている。

清水建設 シールドトンネル坑内 巡視点検業務(SENSYN TV YouTubeチャンネル)