古河電気工業とグループ会社の古河産業は、2022年度から開始した島根県邑智郡美郷町の「林業イノベーション実証事業」において、特殊大型ドローンを活用した苗木や資材を急傾斜地などに運搬する実証実験および町内に拠点を構える企業を対象とした操縦オペレーターの育成支援を2025年3月に完了した。

写真:ランディングパッド上のドローン
実証実験で使用した特殊大型ドローン

 林業の担い手不足が課題となるなか、労働負荷が高い作業の一部をドローンで代替することによる省力化と生産性向上が期待されている。

 古河電工と美郷町は2020年11月に包括的連携協定を締結。また、古河産業はドローンを活用した検査・測量・運搬などの支援事業を行っている。

 2022年の苗木運搬と2023年の救援物資の長距離運搬に続き、2025年3月は、古河産業が提供する最大積載重量49kgの特殊大型ドローンを用いて、苗木(普通苗とコンテナ苗)を急傾斜地・遮断地域・未舗装地域などへ運搬した。3月の実験では、苗木の運搬に適した機体のカスタマイズのほか、梱包仕様、運搬手法を定めることで、1回あたり約1,000本の普通苗を運搬した。これは従来の人力による運搬量の約10往復分に相当する。また並行して、町内に拠点を構える企業の社員6人を対象に操縦オペレーターの育成支援を行い、美郷町内での長期的な実用化に向けた運用体制を構築した。

写真:運搬物を吊り下げて飛行するドローン
特殊大型ドローンによる運搬の様子
写真:複数の人、操縦する人と飛行するドローン
操縦オペレータの育成支援の様子

【実証実験 概要】

期間2022年5月1日~2025年3月31日
場所島根県邑智郡美郷町
内容2022年10月
・特殊大型ドローンを活用した苗木・資材運搬
2023年10月
・特殊大型ドローンによる救援物資の長距離運搬
2025年3月
・特殊大型ドローン(最大49kgの物資運搬が可能)による、総重量1,000kgの苗木や資材(架線集材用および獣害対策用)の急傾斜地・遮断地域・未舗装地域などへの運搬
・美郷町内に中国営業所を構えるタイガーの社員6人に対して運用講習を実施し、ドローンの操縦オペレーターの育成を支援