2025年4月9日、woodinfoは、衛星画像・ドローン・地上実測を組み合わせてスギ雄花着生量と花粉飛散量を高精度に可視化する「統合型モニタリングシステム」の実証を完了し、その成果をもとに「花粉発生源解析サービス」の提供を開始した。
経済産業省の2023・2024年度「宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業」の支援を受け、山口県長門市市有林および鹿児島大学附属高隅演習林で検証を実施。衛星画像のみで雄花着生位置と密度を推定するモデルの正答率は71%に到達し、地上検証によって信頼性を確認した。
同サービスでは、利用者が対象森林の位置図を送付すると、花粉発生源の座標情報と推定飛散量を数値データとして納品する。出力形式はシェープファイルやCSVに対応しており、既存のGIS・森林管理システムへ容易に取り込むことができる。解析には、Pleiadesなどの高解像度衛星とSentinel 2などの中分解能衛星を組み合わせたマルチバンド解析を採用することも可能。無線型RTKとドローン撮影による地上検証で継続的に精度を向上させていくほか、現状では目視によるスギ雄花着生のランク判定もドローンで代行し、自動化を実現した。
実証解析による試算では、花粉高密度林分を限定的に伐採した場合、年間花粉飛散量は20~30%低減し、伐採コストも15%削減できる見込み。さらに、中分解能衛星を6日周期でモニタリングする手法を組み合わせることで、施業効率は従来比で最大157%向上する計算となった。これらの数値は、花粉症対策と森林施業の費用対効果を客観的に示す根拠となる。
衛星画像解析技術は、森林由来のボランタリークレジット創出業務にも応用を開始。衛星データによる樹冠レベルのバイオマス量推定と、伐採・再造林後のCO2吸収量モニタリングを組み合わせ、クレジット検証に必要なデータをリモートセンシングで提供する。これにより、従来の地上調査に比べて大幅なコスト削減と迅速化が可能となり、高精度かつ透明性の高い森林クレジット創出を支援する。