2024年7月29日、日本航空(以下、JAL)は、ドローン操縦者やドローンを利活用する事業者などを対象に、高度なドローン運航におけるスキル習得や安全管理の理解向上を目的とした座学講座を新設する。

写真:飛行するドローン(左)、座学の様子(中央)、モニターに向かい合って座る人(右)

 JALは、有人機の安全運航のノウハウをもとに、2020年10月よりJAL Air Mobility Operation Academy(以下、JAMOA)を開講し、新しい空の産業における安全推進を担う人材プログラムを運営している。JAMOAは、安全運航のため利用可能な全てのリソースを有効活用するという考え方である「Crew Resource Management(以下、CRM)」をベースとした体系的な座学カリキュラムを提供し、ドローンを利活用する事業者を中心に講義を行っている。

 ドローンの利活用では、実証実験のフェーズを経て事業化を進めるにあたり、「目視外・遠隔自動操縦」など高度な運航を安全に遂行する必要がある。目視外・遠隔自動操縦は、機体状況や気象の変化など運航に影響を与える要素が多くなる一方、遠隔モニターシステムを通じて限られた情報を総合的に活用して適切な判断・対応をするなど、飛行前から飛行後まで全般にわたるフライトマネジメント・スキルが求められる。

 ドローン操縦者ライセンスの取得には、CRMを機能させるノンテクニカル・スキル(状況認識、意思決定、ワークロード管理、チームの体制構築、コミュニケーション)が必須要目となっているほか、レベル3~4飛行などの高度な運航では、飛行の許可・承認にあたって適切な運航管理体制が求められる。

 こうしたドローン運航の現状を踏まえ、JAMOAは、CRM概念と必要なスキルを効率的に学べる「Basic」コースを新設する。

JAMOA「Basic」コース概要

・ドローン運航に則した題材をもとにロールプレイを行いながら、組織的な安全管理に資するCRM概念の理解、定着を図る
・目視外飛行・遠隔自動操縦に必要なノンテクニカル・スキルを短時間で習得する
・理論を実際のドローン運航に応用できる手法を習得する

ノンテクニカルスキル(Basicコースを含む座学カリキュラム)とテクニカルスキルを掛け合わせた概念図

JAMOA座学カリキュラム

Basic (1日/3時間)
【Crew Resource Management】
有人機運航で実残されているCRMの考え方の定着を図り、ドローン運航に適したスキルを効率的に学ぶ。

Standard (1日/8時間)
【Human Performance】
人間は情報処理においてエラーを起こすことを体験から学び、その「Error Management」方法などを講義する。
【Safety Management】
安全を維持するための基本的な考え方、「Threat & Error Management」方法などを講義する。

Advanced (1日/8時間)
【JAL Communication Arts】
航空機の運航の中では事故に直結する場合がある「Communication Errorを防ぐ技術」を体系的に講義する。

Instruction Skills (1日/8時間)
【指導者育成プログラム】
「訓練乗員のやる気を引き出し、自分で気付き、自らSkill upすることを支援する」教官向けプログラムを一般向けに講義する。