“楽しみながら学ぶ” がコンセプトのDRONE STAR PARTYのリリースも記憶に新しいORSOのブースでは、お家で練習できる練習用ミニドローン「DRONE STAR TRAINING」の展示と体験操縦スペースが設けられていた。

写真:「DRONE STAR TRAINING」の体験操縦スペースでドローンを操縦する様子

最低履修時間と合格ライン到達のギャップ

 無人航空機操縦者技能証明制度が創設されて1年半。一等、二等ともにゼロベースから資格取得を目指す「初学者向け」コースが設定されたものの、やはり自主練習で基礎技術を高めたほうが合格の可能性が高まることは間違いない。

 というのも、二等資格の初学者向けコースを例に考えると「最低履修時間」は実地講習が10時間となっており、各登録講習機関では10時間のカリキュラムを組んでいる。しかし、飛行コースが3種類あるため、人によっては合格ラインに達するまでには時間が少なく感じる方もいるだろう。

 そこで自主練習が重要になってくるのだが、Phantom 4 ProやMavic 3 Classicといった教習利用する機体で初学者(要は初めてドローンに触れる方)が自宅等で自主練習するのはハードルが高いという問題と、一般的に販売されているミニドローンでは操作感度や操縦性が大雑把過ぎて一定以上の練習効果が見込めないという問題(基礎の基礎というレベルでは有効)がある。

DRONE STAR TRAININGの特徴

 一般的なミニドローンでは、主にコントローラーと機体の動きに国家資格講習練習用に向かない点がある。コントローラーが小さい、スティックがゲームコントローラーのように丸く入力も柔らかすぎる、スティック入力の動きへの反映が大雑把…などだ。もともとが楽しく飛ばすことができるように設計されているので、スティックの入力ブレが吸収されるような “遊び(入力されても機体が動かない)” 範囲が大きかったり、機体の動きが機敏になる傾向がある。これらの特徴は、ドローンを操縦して遊ぶ分には楽しいのだが、いざ資格取得を目的とした丁寧な操縦練習となると不向きになることも多いのだ。

写真:練習用ミニドローン「DRONE STAR TRAINING」の機体とコントローラー

 それに対し、ORSOが開発したDRONE STAR TRAININGは、12cmのミニドローンながらも、教習機として使っている機体に操縦感を近づけており、国家資格講習のコースで減点を少なく飛行させるために必要な操縦技術の「要素」を自宅で練習できる機体となっている。

 Japan Drone 2024のORSOブースでは、1/4サイズに縮小した国家資格と同様のコースを用意し、それを体験できるようにした。開催の3日間は体験希望者がしきりに訪れ、列が途切れることはなかった。筆者も飛行を体験してみたが、DRONE STAR TRAININGの自宅練習用ドローンとしてポテンシャルを大いに感じることができたので下記に詳細を記していく。

写真:体験操縦スペースを飛行するドローン

DRONE STAR TRAINING の自宅練習用へのこだわり

・ビジョンセンサーのON/OFFができる

 DRONE STAR TRAININGはコントローラー側のスイッチひとつでビジョンセンサーをON/OFFすることができるため、国家資格修了試験にある「水平方向の位置安定機能」をONの状態の練習もOFFの状態の練習も1機でできる(一般的なミニドローンはビジョンセンサー付きの機体でセンサーをOFFにできる機体はごく一部しかない)。具体的には「スクエア飛行」や「8の字飛行」を想定した練習ではビジョンセンサーをONに、基本的なホバリング技術や「異常事態の発生時の飛行」の練習ではビジョンセンサーをOFFにして練習できるのでとても効率的、かつ操作感を統一できる点では練習に一貫性を持たせることができる(コントローラーや機体特性が変わると練習しにくい)。

写真:コントローラーのビジョンセンサーON/OFFスイッチ

・専用コントローラーの優れた操作感

 コントローラーはDRONE STAR TRAININGのもっともこだわった部分とも言えよう。コントローラーのサイズはあえて大きくし、操縦用スティックは適度な強さのスプリングで管理、スティック形状も空撮機を意識したこだわりのデザインとなっている。もちろん、入力に対する機体の動きもとてもスムーズで、映像や写真で言うところの “解像度” が高い印象だ。ほんの少し入力したり入力を弱めたりすると、そのとおりに機体が動く。

画像:コントローラーの操縦用スティック

 一般的なミニドローンではこの操縦入出力の“解像度”が低いため、ほんの少し入力を変化させても動きに反映されないことが多い(そのほうが飛行自体は楽しみやすい)。DRONE STAR TRAININGは、エンタメ的な楽しさを捨てるかわりに、この一般的にはわかりにくいとも言えるこだわりによって教習用機体の動きを絶妙に再現している。入力を弱めすぎるとビジョンセンサーによって機体の動きが止まってしまう(=国家資格の減点項目でいうところの「不円滑」)のもある意味リアル。DRONE STAR TRAININGで「ゆっくり、まっすぐ、一定の速度」で飛行できるように練習すると、国家資格コースの飛行で必要になる重要なポイントをおさえられそうだ。

画像:コントローラーを操作する手元の様子

・アプリ接続で機体カメラやメトロノーム機能も

 その他にも、機体には角度を手動で調整できるカメラが搭載されており、DRONE STAR TRAINING用スマホアプリを介してFPV映像を見ることができる。床面を一工夫してカメラ映像から機体の位置がわかりやすい状態にしておくと、録画したFPV映像を見ることで飛行経路を振り返ることも可能だ。

 また、スマホアプリにはメトロノーム機能も付いており、メトロノームのタイミングでホバリングさせる機体の向きを変える練習をしたり、ゆっくりとした速度で飛行するためにメトロノームで移動時間を測ったりと、自主練習に役立つ機能が盛り込まれている。

一等無人航空機操縦士資格取得者も納得の操縦性

 操縦体験の列には既に一等や二等の操縦士資格を取得したベテランドローンパイロットも多数並んでおり、実際に操縦した感想をうかがったところ「スティック入力が固くてどの方向にどれだけ入力しているか把握しながら練習ができる」「スティック入力の反応や加減の反映が素晴らしく練習に活用できそう」といった納得の感想を聞くことができた。DRONE STAR TRAININGは7月に発売予定。現在は先行予約をWebサイトより受け付け中だ。

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