KDDI、KDDIスマートドローン、日本航空(JAL)、東日本旅客鉄道(JR東日本)、ウェザーニューズ、メディセオは、2024年2月13日から2月22日、東京都江東区において、ドローンポートを活用した医薬品授受管理の実証を実施した。

実証実験の様子

 同実証は、東京都の「ドローン物流サービスの社会実装促進に係る実証プロジェクト」に基づき、都内におけるドローン物流サービスの早期の社会実装を目指すもの。2023年度の取り組みとして、2023年12月に実施した日本初(※1)となるレベル4飛行(有人地帯における目視外飛行)での医薬品配送に続き、今回はドローンポートを用いて、輸送された医薬品の安全な授受と授受管理の省人化に向けて検証を行った。

※1 KDDI、KDDIスマートドローン、日本航空、東日本旅客鉄道、ウェザーニューズ、メディセオ調べ。2023年12月8日時点。

2023年度 各社の役割

KDDIプロジェクト全体取りまとめ
KDDIスマートドローンスマートドローンプラットフォームの提供
レベル4飛行における機体運航業務
日本航空ドローン物流ビジネスの策定・評価検証
ドローンポートの運用検証業務
東日本旅客鉄道ドローン物流ビジネスの将来的な実装場所にかかる検討支援
ウェザーニューズ安全運航のための気象データ提供および助言
メディセオドローンを利用した医薬品配送手順の策定および検証

実証概要

 ドローン物流サービスの社会実装に向け、ドローンポートの有効性および業務フローの検証を2024年2月13日から2月22日に実施した。

 ドローンによる物資輸送サービスが広く利用されるには、ドローンの安全運航のほか、配送物の安全で確実な授受と、授受管理の省人化による利便性向上などの実現が必要となる。これまでの実証ではドローンが着陸する際の安全管理や、配送物の受け取りなどの人員を配置する必要があった。

 今回の実証では、荷物の格納が可能なドローンポートを用いた離着陸場所を医療機関に隣接した場所に設け、ドローンによる医薬品輸送サービスに求められる離着陸時の安全確保や、配送物の授受管理の利便性について検証を行った。

実施場所:東京都江東区豊洲5丁目
(出典:国土地理院ウェブサイト)
使用ポート:IHI運搬機械社製ドローンポート
サイズ高さ2.4m、幅2m、奥行4.8m
ドローン着陸可能範囲幅1.5m×奥行1.5m
荷物適応サイズ幅260mm、奥行340mm、高さ 200mm
重量 2.7kg(最大)
通知機能荷物受領メール送信機能
荷物の取り出し方法荷物受領メールに記載された暗証番号をタッチパネルで入力し、取り出し口を開錠
電源単相AC100V、1.5kVA

使用機体:ACSL社製「ACSL-PF2」
全長(プロペラ含む)1,173mm
高さ(アンテナ除く)526mm
飛行速度10m/s
航続時間最大29分(ペイロードなし)
最大ペイロード2.75kg
最大離陸重量9.8kg
耐風速10m/s

ドローンポートの運用フロー

 実証期間中は、病院関係者約40人がドローンポートを用いた医薬品輸送を体験し、「ドローンポートを省スペース化し、病院の屋上など院内に設置してほしい」などの意見を得た。また、東京都病院薬剤師会の後藤会長は、「医薬品を受け取るだけではなく、病院からの発送も可能になれば、薬の返品もできるのに加え、緊急時の病院間での医薬品の融通も期待できる」「ドローンポートを利用し夜間にも医薬品の配送が可能になると、病院および医薬品卸会社の双方で人員が少ない時間帯の省人化につながる」と、将来の医薬品物流の進展に期待を示した。

 6社は社会実装に向けて、設置場所に適したサイズのドローンポートが求められていること、ドローンポートとドローン間のシステム連携が必要であること、高精度な着陸やより多くのペイロードを運搬できるドローンが求められていることなど、同実証で把握した課題・ニーズを汲み取り、将来の都内における医薬品輸送サービスの実現を目指すとしている。

 技術面や運用面、ビジネス面の課題への対応策を引き続き検討し、ドローンによる医療物資輸送サービスに必要な安全運航体制やビジネスモデルの確立を目指し、2024年度には都心部でのレベル4飛行を見据えた長期的なドローンのサービス実証を行う予定だ。