2022年4月14日、ドローン・ジャパンは、ドローンとAIを活用し、農薬・化学肥料に頼らない栽培支援技術として、テロワール(ワインぶどう畑)の「ブドウ樹と雑草との区別分布」「ブドウ畑の地力分布」を見える化する技術を開発したことを発表した。

 同技術を活用・発展させることで、ひとりでも多くのワイン用ブドウの有機栽培生産者を増やすことを目指す「ドローンワインプロジェクト」を開始する。

 また、協力生産者の畑から収穫されたブドウの一部を原料にした、2020年のヴィンテージワイン「ビコーズ, アイム シャルドネ フロム サザンフランス」(輸入:フィラディス)と、「アッサンブラージュ ブラン 2020」(輸入:成城石井)が同日発売された。

 気候変動に影響を与えているとされる農薬と化学肥料の過剰な使用を食い止め減少させることは、SDGsの観点から農業分野が取り組むべき喫緊の課題である。その課題解決策として、農薬と化学肥料を最小限もしくは使用しない農業のための技術開発が求められている。(参照:農林水産省 「みどりの食料システム戦略」https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/index.html

 そこで同社はフィラディスと成城石井が輸入・販売しているフランスのワイン生産者の協力のもと、ドローンとAIを活用した農薬・化学肥料に頼らない栽培支援技術(栽培の有機化を支援する技術)を開発した。

 2,000万haもの農地を有する農業大国であるフランスの有機栽培農地の割合は、全体の10%となる。これに対し日本は0.5%ほどにとどまる。フランスでの化学肥料の年間使用量は農地規模比率で日本より40%少ないとされている。(参照:総務省「世界の統計2021」https://www.stat.go.jp/data/sekai/pdf/2021al.pdf
 日本の政府目標である “2050年に有機栽培農地比率25%(現在から50倍)” に向けた取り組みにおいて、フランス農業は日本が目指すべきロールモデルになると考え、同社はフランスを選んだという。

 フランスではワイン用ブドウ畑が全農地のうち最大の面積を占める。その有機栽培支援技術をドローンとAIで研究・実証・開発していくことが、今後の日本の農地や世界の有機栽培比率を上げる手がかりなると同社は考えている。

 今後ドローン・ジャパンは、2050年に日本国内の有機栽培面積を25%に拡大することを支援する「ドローンによるAI画像解析技術」を開発・発展させていく方針である。また、ドローンワインプロジェクトの支援者を募り、同技術を活用するワイン用ブドウの有機生産者・有機圃場を増やしていく、としている。

ドローン・AI技術について

 ドローンの自律航行方法、カメラの種類と設定から解析手法までさまざまなパターンを試行し、その解析結果を生産者に実際のワイン用ブドウの生育状況と比較検証してもらいながら、ワインブドウ畑の見える化を実現した。

1. ブドウの葉と雑草の区別分布

 ドローンで撮影した画像を色と合わせ3次元情報を加えることで、ブドウの葉と雑草の区別分布を可能にするAI画像解析技術。この分布図は雑草と“共生”するワイン用ブドウの栽培に活用でき、農薬・化学肥料を少なくすることに役立つ。

(生産者:フィリップ・フェザス氏)


2. ブドウ畑の地力分布

 ワイン用ブドウの樹勢の生育期ごとに、形・色・大きさを学習し、AI画像解析することで地力分布図を作成する。この図により精密な肥料設計・計画が可能となり、化学肥料を少なくすることに役立つ。

(生産者:ベルナルド・カマン氏)