北海道上士幌町や茨城県境町の自動運転バスなどの遠隔監視サービスを行うセネックは、完全自動配送ドローンポートの提案を行った。開発中のドローンポートは、自働車部品メーカー・東海理化の自動車向けスマホキーシステムで利用するUWB技術を応用して、ポートに着陸する精度を向上させるものとなっている。

自宅の庭先にドローンポート UWB技術を応用して着陸精度を上げる

 セネックはこれまで自動運転バスの運行の遠隔監視サービスを行ってきたが、それらの経験・技能を用いて遠隔操作にて開閉・移動可能なドローンポート「スカイドアーMAX」を東海理化と開発中だ。ポツンと一軒家のような奥地などに住んでいるため簡単に買い物に行けない、薬を受け取れないといった買い物難民対策として、ドローンで荷物を配送することが模索されており、さまざまな実証実験等が行われているが、ネックとなるのがラストワンマイルとなる荷物の受け取り方法だ。これをセネックは、スカイドアーMAXで解決しようと考えている。スカイドアーMAXを自宅に設置し、玄関先で荷物を簡単に受け取れるようにするという。

「庭先に設置したスカイドアーMAXにドローンが着陸。荷物が置かれ、再びドローンが離陸した後に、レールのようなものでスカイドアーMAXが玄関先まで荷物を届けてくれるというイメージで開発中」(東海理化の説明員)

写真:ネットが開いた状態の「スカイドアーMAX」
開発中のドローンポート「スカイドアーMAX」。外形寸法70cm×70cmで、離着陸の際には安全対策のためネットが開き約2m程度になる。(東海理化ブース)
写真:展示された「スカイドアーMAX」
離着陸時に広がるネットは、人・動物がポートへ近づくのを防止する。(東海理化ブース)

 配送用のドローンポートの課題の1つとして、いかに安全に着陸できるかということがあるが、現状、ドローンポートへの着陸に関しては、GPSやQRコードを用いた方法が利用されている。しかし、GPSの場合は利用環境などによって精度が低くなってしまうことや、QRコードの場合はコードが汚れていると正確に認識できない、暗闇で認識できない等の難点がある。完全自動配送用のドローンポートを目指すならば、着陸の安全の担保は必須条件。そこで東海理化は、周波数8GHz帯のUWB(Ultra-Wide Band)通信を応用し、ドローンポートに対するドローンの相対位置をリアルタイムに測定する技術を開発した。

写真:展示された「UWB着陸システム」
GPSやカメラが使えなくても安全な着陸が可能となるUWB着陸システム。(東海理化ブース)
写真:上から見下ろしたドローンポート
ドローンポートの4隅にUWB通信ユニットが設置されている。今回展示されたUWB通信ユニットは、車用のデバイスを用いているため機器のサイズは大きめ。もっと小型化できるとのことだ。(東海理化ブース)
写真:ドローンの機体下側
ドローンに4個のUWB通信ユニットが取り付けられている。(東海理化ブース)

 どういったものかというと、アンテナと送受信トランシーバーで構成されるUWB通信ユニットを、ドローンポート4隅とドローン側に4個搭載する。これらを用いて、ドローンとポート間の距離をUWB電波でリアルタイムに測定・出力し、ドローンポート上のXYZ座標におけるドローンの位置を推定するというものだ。測定にかかる時間は約200ミリ秒。今回はロール・ピッチ・ヨーの回転角も推定するために、ドローン、ドローンポートにそれぞれ4個のユニットを搭載しているが、XYZ座標のみを推定する場合ならば、ドローン側に1個、ポート側に3個あれば可能とのこと。東海理化の説明員によると「高度10~20mでも±3cm程度の測定精度を出せる」ということで、ドローンポートへの着陸精度の向上が期待される。今後、実際にドローンを飛行させて検証していくとのことだ。

写真:スカイドアーMAXを紹介するモニター画面
セネックブースでは、Project Control CenterでのスカイドアーMAXを利用した配送の様子が流されていた。

 セネックでは、今後も東海理化と協働でスカイドアーMAXの実用化を目指し実証実験を行っていくほか、ドローンメーカー、オペレーターとの協業で全国ラインへの普及を計画している。すでに本社の遠隔監視センター「Project Control Center」にて自動運転バスの遠隔監視体制を築いており、ここでスカイドアーMAXも遠隔操作・監視し「完全自動配送」の実現を目指す。

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