ライカジオシステムズは建設・測量生産性向上展2024にて、自社で開発した新型の自律飛行型レーザースキャナー「BLK2FLY」を出展し、デモフライトを公開した。このドローンは点群データの取得・計測を主としたもので、特に自律的な屋内の点群データの計測を可能にするなど、画期的な機体設計となっている。

レーザースキャナーと高度な自律飛行で簡易的に点群データを取得

展示されていた「BLK2FLY」。寸法は53×60×19cm。

 BLK2FLYは、先端の黒いドーム状の部分から前方向270度、横方向360度にレーザーを放射し、高精度な点群データを収集する。ドームの中央部分と両翼は一体化した設計となっており、両翼を折りたたむことでコンパクトに持ち運びが可能である。そのため、専用のトランクに収納でき、バッテリーを含め飛行機での運搬も可能にした。

両翼を折りたたむと片手で持てるほどにコンパクトに。バッテリーを含む重量は2.6kg。

 操作はすべてタブレットから行い、画面をタップするだけで自律飛行が可能となる。一方でマニュアル操縦にも対応し、複雑な構造物のデータ取得や緊急時のために切り替えられる設計だ。バッテリーは効率的な業務の遂行を目的にホットスワップ式を採用しており、電源をオンにしたままバッテリーの交換が可能だ。なお、1本のバッテリーで約10分間飛行することができる。可搬性が高いことや操作性に優れていることに加え、障害物回避の性能の高さも魅力的だ。自律飛行・マニュアル操縦に関わらず、V-SLAM、Lidar SLAM、レーダーの3つによって、リアルタイムで障害物を認識し、ぶつかるリスクを限りなく低減している。また、バッテリー残量が少なくなると、障害物を避けながら安全にホームポイントに自動帰還する機能も搭載している。

先端に搭載されたレーザースキャナー。スキャンスピードは42万点(秒)。
プロペラガードの各所に障害物回避用のセンサーを備える。

 先端の黒いドーム状の部分から照射されるレーザーの距離は最大約25mであり、通常のレーザースキャナーに比べれば、それほど照射距離は長くない。これは、障害物回避によってドローンを限りなく被写体に近づけてデータ収集することを前提とした結果だ。近距離による高精度なデータ品質を優先しているため遠くまで照射する必要がない設計となっている。

扱いやすい直観的な操作で構造物の細部を点検

 飛行準備は、衛星画像上で飛行エリアを指定し、自動で飛行ルートを作成する。その後、高度を設定し、撮影範囲を指定すれば、例えば橋脚の側壁面の点群データを自動で計測することができる。また、工場などの範囲も指定でき、立体的にZ軸方向にも移動しながら複雑な形状を点群データとして計測可能である。

 BLK2FLYは屋内でも安全に点群データを取得できる。テスト飛行では、建物の1階から3階までの内部を自律飛行で撮影したという。また、貯水タンクのような通常のドローンでは上からしか撮影ができない困難な構造物であっても、BLK2FLYであれば側面のデータも取得可能だ。地上型の高精度なレーザースキャナーと比較して、その誤差は1cm以下であったことが確認されている。点群データの厚みも薄く、階段のエッジなども細かく取得できたという。

 BLK2FLYの本体価格は約800万円となる予定だが、その性能と利便性を考慮すると、プロフェッショナルの現場にとって価値のある投資といえる。ライカジオシステムズの「BLK2FLY」は、これまでのドローンでは難しかった屋内の高精度な点群データ取得を可能にし、建築・土木の現場で大きな役割を果たすだろう。

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