FLIGHTSは建設・測量生産性向上展2024に出展し、ドローンに搭載可能なレーザー測量用LiDARとなる「FLIGHTS SCAN XT32 M2X」と「FLIGHTS SCAN V2 M2X」のほか、それに付随するソフトウェアを展示した。

 LiDAR(Light Detection and Ranging)は、レーザーを飛ばしてその反射時間を測定することで距離を計測する技術であり、FLIGHTSではドローン測量用LiDARを提供している。

XT32がモデルチェンジしてV2 M2Xとなって発売予定

FLIGHTSが新たに販売を予定している「FLIGHTS SCAN V2 M2X」。
現行型の「FLIGHTS SCAN XT32 M2X(XT32)」。

 FLIGHTSは、現在発売中の「FLIGHTS SCAN XT32 M2X(XT32)」と今後発売予定の「FLIGHTS SCAN V2 M2X(M2X)」を展示した。現在XT32を販売しているが、これに採用されているカメラやセンサーなどを高性能化し、FLIGHTS SCAN V2 M2Xとして今後販売を開始する。これらは、DJI Matrice 300/350 RTKに搭載することができ、XT32の飛行高度は最大約80mであったが、M2Xは最大約120mからの測量が可能となる。

 また、リターン数の違いも注目すべき点だ。XT32は2リターンに対応し、M2Xは3リターンに対応している。3リターンの場合、最初に当たった物体、最も反射強度が高い物体、そして最後に当たった物体からのデータを取得することができ、リターン数が多くなるほど、点群データの精度は向上する。

 結論として、XT32は例えば山などで地面のデータを取得したい場合に適している。一方、高高度から効率的に植生も含めたデータを取得したい場合には、M2Xが向いているという。

 ドローンでの測量が難しい場所では、ハンドヘルドキットが役立つ。このキットはハンドヘルド型とバックパック型の2つに対応し、これを使用することで人手による測量も可能になる。つまり、1台のセンサーでドローンと手持ちの両方に対応できるため、非常に便利である。近年はドローン測量に対する精度を国が見直していることもあり、より精度の高いデータが求められる。そのような場合に、ドローンと地上からの測量を組み合わせることが有効になる。

ハンドヘルド型で手持ちによる測量も可能にした。

 LiDARセンサーは3つの主要なコンポーネントで構成されている。まずセンサー本体、次にXT32の場合はソニーのα5100カメラ、そしてIMU(慣性計測装置)である。特にIMUは高性能なものを採用している。FLIGHTSの担当者は、「一般的にドローンによるレーザー測量では、距離が長くなるに連れて精度に誤差が生じてきます。しかし、採用しているIMUによって長距離であっても高精度な計測が可能です」という。なお、約2470万画素となるα5100カメラは、点群データに色を付けるために使用される。新型となるM2Xは、約6100万画素のカメラに変更され、より鮮明な点群データの作成が可能だ。

XT32に備えられたSonyのα5100。

飛行計画作成やデータ解析を担う一気通貫ソリューション

 測量で取得したデータは、独自ソリューションで解析することができ、これらを利用することでデータ取得から解析のアウトプットまで一貫して行える。LiDARにはUSBの差し込み口があり、そこにデータが記録されていく。このUSBからパソコンにデータを移し、「FLIGHTS POINT(点群作成ソフト)」というソフトで点群データに変換する。

 さらに、ドローンの飛行経路を作成する「FLIGHTS PLAN(地形追従飛行計画作成サービス)」も提供しており、感覚的に飛行経路を作成できる。地形の凸凹に沿った立体的な飛行経路を最短10分で作成できるという。

 LiDARと各種ソフトはパッケージ化して販売されているが、取捨選択も可能となっている。ただし、取得したデータはFLIGHTS POINTでないと点群化できない仕組みだ。なお、FLIGHTS POINTで点群化した後に使用する点群編集ソフト「ライダー360」も提供しており、購入から1年間は無料で使用可能。翌年からはライセンス制の年間更新が必要となる。

 これらに加え、「FLIGHTS DOCS」を開発中だ。これは、ドローンで測量したデータの精度を保証するためのソフトであり、FLIGHTS POINTで解析したデータをアップロードすると、自動的に様式を作成してくれる。

 FLIGHTSは独自にLiDARを開発することで、低価格を実現。XT32は約600万円で販売しているが、新型のM2Xも1000万円以下の価格で提供を予定しているという。担当者も「高額な商品ではあるものの、同等の性能を求めれば、この価格では入手できないでしょう。コスト感もFLIGHTS SCANの強みです」と話した。

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