「現場で簡単に使える」をコンセプトに開発したエアロセンスの測量ソリューション。

 自社開発の国産産業用ドローンとクラウドサービスを通じてさまざまなソリューションを提供するエアロセンスは、「現場で簡単に使える」をコンセプトに開発した2周波GNSS受信機内蔵・後処理キネマティック測位対応ドローン「エアロボPPK」にHerelink HD Transmissionを採用した「新型エアロボPPK(AS-MC03-PPKHL)」、GNSS受信機内蔵対空標識「エアロボマーカー」と写真測量解析サービス「エアロボクラウド」を展示・紹介した。

Herelinkの操作端末を採用 操作性が向上した新型エアロボPPK

新型エアロボPPK(AS-MC03-PPKHL)。IP43の防塵性・耐水性(カメラ・ジンバルは除く)と堅牢な作り。
Herelink HD Transmissionの操作端末。飛行中にカメラのジンバルを操作し、任意の角度から写真撮影も可能。
操作端末にエアロボステーションが移植されているので、端末上で飛行計画を作成することができる。

 新型エアロボPPKの特徴は、Herelink HD Transmissionの操作端末を採用したこと。自社開発のエアロボ専用フライト管理アプリケーション「エアロボステーション」を操作端末上に移植したことにより、端末上で飛行計画を作成し全自動でフライトさせることができる。さらに、通信性能を強化したことにより操作の安定性の向上を図ったという。また、フライト中のカメラ映像を端末上で確認しながらジンバルを操作して、任意の角度から写真を撮影することも可能となり、利便性が大幅に向上した。空撮も可能なので、工事・建設現場などで日々の業務にも活用できるとのことだ。

機体に搭載された2周波GNSS受信機。
クイックアタッチメントを採用しており、撮影用カメラの接続がワンタッチでできる。従来機と比較して簡単に接続することが可能だ。

 従来機と同様に、2周波GNSS受信機により算出した機体の位置情報と撮影時刻の情報をもとに、飛行後にドローンで撮影した画像と統合処理が可能なので、一般的な写真測量に求められる対空標識の設置数を大幅に削減しながら精度の高い測位情報を取得することができる。たとえば一般的な写真測量の場合、対空標識5点、評定点3点の合計8点の対空標識を設置しなければならないが、エアロボPPKならば評定点を設置しなくても精度が出せるという。そのため、現場での作業の省力化が図れる。i-Construction基準である高い測量精度を実現しながら、広範囲の写真測量の省力化を実現できる。

Webブラウザから空撮画像をアップロードして処理を開始するだけで、短時間で必要なデータを生成することができる。エアロボマーカーを利用することでGCPの設定も行うことなく高精度な測量処理が可能だ。
空撮画像からオルソ画像や3Dモデル、精度レポートを生成。現場の点検業務に3次元点群ビューアーやオルソ地図表示機能を活用できる。

 また、写真測量・基準点測量解析アプリケーション「エアロボクラウド」と組み合わせることで、後処理キネマティック測位情報や撮影した画像の解析処理を自動かつ高速で行うことができる。エアロボクラウトは4月に作業工程順・対話形式のUIに全面刷新しており、さらにわかりやすくなったという。これまで、ドローンで撮影した写真、対空標識の座標などの項目をそれぞれ選択し入力する必要があったのが、UIが指定するプロセスに沿って順番通りに必要な項目を選択・入力するだけで写真測量の解析が行えるようになった。これにより経験者から初心者まで幅広く利用できる。

 ちなみにエアロボクラウドは、他社製のドローンで撮影した画像、測量用の一般的な対空標識も処理できるので、現場ごとに異なるドローン機体、基準局、対空標識の種類や測位方法の組み合わせによる処理にも対応できるとのことだ。

GNSS受信機内蔵対空標識「エアロボマーカー」。空撮しながらマーカーの位置を計測できる対空標識。

 GNSSの受信機を内蔵し、自動的に測位できるので手間いらずの対空標識として認知度が広がっている「エアロボマーカー」。地面に置いてスイッチを入れるだけで約1cmの高精度で位置情報を取得。ドローン写真測量において空撮しながら標定点を多点同時計測できるため、現場作業にかかる工数を削減する。さらに、画像処理に最適化された独自デザインにより、画像からマーカーをエアロボクラウドにより自動検出し、画像処理時間を大幅に短縮してくれる。

 また、エアロボマーカーとエアロボクラウドの組み合わせで基準点測量にも利用が可能だ。エアロボマーカーに専用アダプタを取り付け、三脚および整準台にセットすると、基準点をエアロボマーカーで計測することができ、公共測量準則に準拠した帳票が、エアロボクラウドより出力される。

 もちろん、エアロボマーカーとエアロボクラウドは、国土地理院 基本測量機種台帳に2級GNSS測量機器として認可済みだ。

 建設土木業界では人手不足により人材育成が課題となっており、操作性が向上した新型エアロボPPK、作業工程順・対話形式のUIに刷新したエアロボクラウド、エアロボマーカーの組み合わせは、測量業務の省力化のみならず、現場での人材育成の負担軽減にもつながり、課題解決の一助となるだろう。

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