2024年5月22日から24日に開催された建設・測量生産性向上展2024(CSPI-EXPO)で、各種水中機器の導入支援やシステム構築を手がけるSeaBreathは、フランスSEABER社のマイクロAUV「YUCO」の実機を展示したほか、フランスDELAIR Marine社のROV「SEASAM」、フランスALSEAMAR社の水中グライダーなど、販売中の製品を幅広く紹介して、用途による使い分けを分かりやすく説明していた。

センサーによる多くの機能を備えたマイクロAUV「YUCO」

サイドスキャンソナーを搭載した「YUCO」の実機

 当日展示されていたマイクロAUV「YUCO」の実機は、測量に適したサイドスキャンソナーを搭載したものだ。他にも、測量目的であればマルビチームソナー搭載型、環境調査目的であれば水質センサー搭載型など、さまざまなバリエーションがあるという。

 長さ約1mと非常に小型で重さも約10kg、桟橋や船上からの投入が可能なので、1人でも運用できる手軽さも魅力だ。担当者によると、能登半島地震で隆起した地形の調査など、調査会社からの引き合いが増えているという。

 また、展示はなかったが資料によると、ミッションプランニングのGUIも優れており、直感的な操作が可能なようだ。

 実機の展示はなかったが、「YUCO」の上位互換の新機種「MARVEL」についても紹介されていた。

遠隔制御が可能な自律航行型水中ドローン「SEASAM」

 フランスDELAIR Marine社のROV「SEASAM」も、実機の展示があった。こちらは主に、建設現場における海底や海中の写真撮影ニーズに応えることを訴求していた。「水中自律探査マルチドローン」とうたわれる通り、この1台で遠隔制御と自律航行の両機能を選んで使用できる。日本国内でどのような用途が開発されるのか注目だ。

水中の広範囲調査を行う水中グライダー「SEA EXPLORER」

 また、実機の展示はなかったものの、パネルで存在感を放っていたのがフランスALSEAMAR社の水中グライダー「SEA EXPLORER」だ。2024年4月に開催された「Sea Japan 2024」の併設展「Offshore & Port Tech 2024」で実機を展示するなど、日本国内でも認知されつつある機体だ。

 担当者によると水中グライダーは動力を持たず、自己の姿勢と波の力を利用して移動するため、AUVほど厳密には位置をコントロールすることができないものの、空間的また時間的に広範囲を調査できるというメリットを持つ。定期的に船尾のアンテナを海面に出すことで、位置情報を修正しながらミッションを遂行するという。このためAUVのような測量には不向きだが、環境センサーを搭載して水温・塩分の分布を広範囲に調査するといった用途には最適だ。今後は日本国内においても、AUV、ROV、水中グライダーといった機器の「使い分け」や、優れたUIの開発・提供がより一層進むのではないかと、期待が高まる展示内容だった。

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