日本ドローン搬送協会は、2023年9月7日~8日に出島メッセ長崎で開催された「第2回ドローンサミット」に出展し、最大積載重量49kgの物資運搬用ドローン「EAGLE 49」を紹介した。同協会は、国産ドローンメーカーであるDroneWorkSystemと古河電工グループの商社である古河産業が設立し、搬送用ドローンの機体開発や性能向上、オペレーターの育成、安全確保に向けた取り組みなどを行っている。

 物資運搬ドローン「EAGLE」は、運搬可能重量が異なる機体がシリーズ展開されている。今回、展示された「EAGLE 49」は、最大積載重量49kg。主に、林業分野における実証実験や、苗木や防獣柵運搬に用いられており、現在では常に数十か所の現場で毎日稼働、平均すると1日に1.5トンの荷物を運んでいるという。業務の流れは、車で行けるところまで荷物とドローンを運び、荷上地点と荷下地点に操縦者各1名を配置した目視内飛行において、物資をピストン搬送する。

 山間部の急傾斜地でも、手軽に重量物を運搬できる利点が注目を集め、用途は多岐にわたっているようだ。例えば、地質調査で用いるポータブル地中貫入機の部材や、分解して運べる最大5.5メートルの長物、塗料が入っている一斗缶や、ガソリンなども適切な梱包と申請を行うことで、ドローンでの搬送を実現している。

 飛行速度は最大10m/sで、説明員によると「通常であれば人が1時間ほどかけて歩く山間部でも、約5分間で往復できる」という。風洞試験においては、最大15m/sの耐風性能を確認したとのことだ。

「EAGLE」シリーズの最大の特徴は、このような重量の大きな荷物を吊り下げて飛行する際にも、荷物の揺れを自動で抑えられる「振り子揺れ防止機能」を搭載している点だ。

 山間部では、例えば地上ではほぼ無風なのに、100m上昇すると風速8m/sになるなど、離陸地点、飛行経路、荷物を下ろす地点とで、風速や風向が全く異なることが頻発する。しかし、いくら目視内の短距離飛行であったとしても、機体や荷物の揺れを目視で把握しながら操縦することは非現実的だ。

 そこで、揺れを検知したら自動で防止するよう、フライトコントローラーにプログラミングを行ったという。具体的には、荷物が左から右に揺れたら、機体も右方向に1.5回転させる。荷物が左に揺れたら、機体も左方向に1.5回転させる。このように、荷物の揺れを検知したときには、機体が1.5回転しながら進行方向に進んでいくことで、揺れを自動制御できるというわけだ。また、縦揺れを軽減するための機能も搭載した。

 重量物の搬送手段としてはヘリコプターもあるが、有事の際にはパイロットの人命が危ぶまれるなど、安全性の面においてドローンは非常に有用だ。運用費の面でも、ヘリコプターと比べると安価に抑えられるケースが多いという。

 今後も、日本ドローン搬送協会は、運搬車とヘリコプター搬送の間を補う搬送手段として、「重量物運搬ドローン」の社会実装を目指し、最大積載重量70kgを実現する機体の開発や、機体認証も進める予定だ。

山間部での運用シーン

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