2023年10月13日、ANAホールディングス(以下、ANAHD)は、2023年11月6日より、有人地帯における補助者なし目視外飛行(レベル4)によるドローン配送サービスの実証実験を、沖縄県久米島町で実施すると発表した。

 ドローン配送の課題である運航の省人化にむけた検証や最適飛行経路を分析する。地域ボランティアの人々との連携も行い、自宅まで配送するラストワンマイル物流の検証も行う。

 同実証は、国土交通省物流・自動車局物流政策課の「無人航空機等を活用したラストワンマイル配送実証事業」に採択されている。

レベル4運航に向けた訓練の様子

 ANAHDは2018年よりドローン配送サービスの検討を開始し、無人地帯での目視外補助者なし飛行(レベル3)の実証実験を、これまでに14回実施している。

 2022年12月の航空法改正後、レベル4が解禁されたが、レベル4の実施には、無人航空機の型式認証、操縦士ライセンス、運航管理のルールが必要となっている。

 同実証では、国土交通省航空局から「第一種型式認証」を取得したACSLのドローン「ACSL式PF2-CAT3型」(※1)、国家資格である一等無人航空機操縦士の資格を保有した自社の操縦士、安全管理・運航管理・整備部門などの航空会社としての知見を生かした飛行マニュアルにより、レベル4の飛行承認を取得した(※2)

 ANAHDは、レベル4で実証する運航体制、飛行経路などを検証し、ドローン物流事業の社会実装を目指すとしている。

※1 ACSLは、2023年3月13日に日本で初めて国土交通省より第一種型式認証、3月15日に第一種機体認証を取得。3月24日には、PF2-CAT3による日本で初めてのレベル4飛行に成功している。(参考記事:日本初となるレベル4飛行による日本郵便のドローン配送

※2 ANAHDは「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)」に基づき、ドローンを目視外飛行させる承認を得た。日本国内においては2事例目となる。(国空無機第157229号)

実証実験 概要

 実証では、ドローン配送の課題の1つである運航の省人化に向けた検証を行う。これまでのレベル3では運航に少なくとも3人以上の人員を要していた体制が、レベル4により運航者1名で実施が可能となる。

 今回の経路は、久米島町のAコープ久米島店から久米島町真謝地区で設定し、地域ボランティアとの連携を通じ、食料品・日用品を注文者の自宅まで配送するラストワンマイル物流の実施も含めて、技術・ビジネス面における有用性の検証を行う。

目的 :レベル4によるドローン配送サービスを行い、飛行の最適化や人件費の削減など技術面・ビジネス面における有用性の検証を行う。
内容 :久米島町内のスーパーから久米島町真謝地区の住民への食品配送サービスを提供する。
期間 :2023年11月6日~11月9日 9:00~18:00(日没まで)
※天候事由により延期する可能性もある。
飛行区間 :沖縄県久米島町Aコープ久米島店~旧仲里間切蔵元跡(真謝地区)
配送物 :スーパーマーケットAコープ久米島店で取り扱う食品の一部
使用機体 :ACSL式 PF2-CAT3型
配送対象者 :主に真謝地区に住む住民

飛行ルート(約2.3km)

各社役割

「PF2-CAT3」概要

パラシュートが開いた様子(提供:日本化薬)
項目概要
機種名PF2-CAT3(第一種型式認証、第一種機体認証取得)
外寸1,174mm×1,068mm×601mm(プロペラ含む)
重量機体:5.53kg、バッテリー:3.27kg
最大ペイロード:1.00kg
最大離陸重量:9.80kg
最高速度水平10m/s(36km/h)
補助安全装置日本化薬社製パラシュート搭載