9月7日~8日の期間、長崎県長崎市の出島メッセ長崎にて、第2回ドローンサミットが開催された。国産ドローンを開発するイームズロボティクスは、第一種型式認証の申請を発表した物流用ドローン「E600」を展示した。

安全性を意識した第一種型式認証の取得を目指す物流用ドローン「E600」

イームズロボティクスが開発している大型物流用ドローン「イームズ式E600-100型」。
機体下部には荷物搭載用の収納ボックスが設けられている。

 E600は、最大5kgの荷物を搭載して飛行できる物流用ドローンだ。独特なボディ形状に6枚のプロペラを備え、フレームやプロペラにはカーボン素材を採用している。ボディの下部には、抱きかかえるように荷物収納用のボックスが取り付けられており、樹脂製のボックスはしっかりとした作りだ。日常の物流配送を想定しており、降水量5mm程度の雨でも運用できる構造になっている。

 また、E600は、第一種型式認証を申請しており、取得に向けて開発を進めている。第一種型式認証は、目視外による第三者上空での飛行(レベル4飛行)に適したドローンであることを証明する制度であり、あらゆる観点で機体の安全を証明する必要がある。そのため、飛行制御に係るフライトコントローラーや各種センサーといったエッセンシャルパーツ(飛行継続に係る部品)は、1つが故障しても飛行を継続できるように冗長性を持たせている。E600に搭載されるエッセンシャルパーツは20個あるという。そして、万が一トラブルが発生した時を想定し、安全に墜落させるためのパラシュートも搭載した。また、レベル4飛行では完全自動航行による運用となるため、自動離着陸システムの搭載や、LTE通信モジュールと上空SIMを使って遠隔処理を可能にするといった機能も採用している。

 イームズロボティクスは、これまでさまざまなドローンを開発してきたが、E600は完全な新設計の機体だという。担当者は「第一種型式認証を取得するためには、これまで開発してきたドローン以上に安全性のレベルを意識する必要があります。これまでの開発ノウハウは活かしているものの、機体の組み込みの仕方から構造設計まで一新しており、我々は航空機を開発しているという意識のなかで取り組んでいます」と第一種型式認証に対する熱意を言葉にした。

E600の今後の展開とスケジュール

 もっとも気になるのは、E600の仕様発表や飛行している姿をいつ頃見られるかということだ。担当者によると、「スムーズに進めば年内中に正式な機体を披露できるスケジュールとなっています。そして、2024年3月までには、販売価格とサービスの概要を発表し、予約販売の開始を目指しています」と話す。続けて、「イームズロボティクスは物流配送を目的に、佐川急便と協力関係にあります。E600を使った共同の実証実験などで、目に触れる機会も徐々に増えていくでしょう。ただし、正式にリリースする際には、現状展示しているE600からさらに一新したドローンになります。正直、現在の面影もないほどに…」と教えてくれた。

イームズロボティクス、まもなく物流用ドローンの第二種機体認証取得か

 イームズロボティクスは、第一種型式認証に加え、第二種型式認証も申請済みだ。第二種の機体は、現在販売中の大型6枚羽タイプのドローン「E6150MP」をベースにしており、こちらも物流用途を目的としたドローンになっている。なお、ボディ上部はイームズロボティクスの農薬散布機と同じものを用いているため、その後は第二種型式認証を取得した農薬散布機などの展開も検討している。

 第二種型式認証取得機体については、数か月以内に販売価格とサービス概要の発表を予定しており、予約販売開始の時期も近いという。

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