2023年9月22日、NTTデータは、2023年7月14日、21日に、自律航行ドローンによる、緊急着陸地点を陸地や海上に一切設置しないかたちでのレベル3(無人地帯での目視外飛行)の海上横断を実現したことを発表した。

 VTOL型の固定翼UAVを使用して、事前に設定した飛行ルート設定に従って自律飛行を行い、大島を周回しながら海岸を撮影。被災状況を迅速に確認することについての有効性を検証した。

 伊豆(河津町菖蒲沢海岸)から垂直離陸したドローンは、海上を横断して伊豆大島を周回する延べ70kmの行程を正確に自律飛行し、1時間程度で大島の岡田港に着陸した。

 なお同実証は、東京都の離島港湾DX事業に関する業務委託において実施したものとなる。

港湾施設における災害時の情報収集体制構築に向けた実証実験

 NTTデータは東京都からの受託業務において、災害時における港湾施設等の状態を把握するため、ドローンによる撮影に必要な機材や運用体制などを検討した。本業務では、港湾施設において、こうした情報収集体制を実現することを念頭においた実証実験を行った。

飛行区間

 海上横断飛行中は緊急着陸地点を陸地や海上に設置せず、事前に設定したルートを正確に自律飛行(目視外)させて、大島の海岸周辺を撮影した。飛行距離は70km。飛行時のカメラ撮影情報、機体情報はLTE回線を使い、リアルタイムで都庁等の遠隔地端末に中継した。また、ドローンから撮影した映像が、被災状況把握に役立つものか検証を行った。

 使用機体は、垂直離着陸が可能な空解の固定翼機(VTOL)「QUKAI FUSION 3.5」。

「QUKAI FUSION 3.5」(空解)

【撮影結果】

撮影距離による映像精度検証(撮影距離とカメラ倍率は非公開)

ドローン飛行環境の構築や運用体制を支援、AIにより迅速に被災箇所を把握

 今後NTTデータは、災害時の状況把握と情報共有の効率化を実現するソリューションを提供するとしている。災害時における迅速な状況把握を目的に、ドローン飛行環境の構築、運用体制の支援を行う。また、ドローンで撮影した空撮画像等においてAIを利用して被災状況を可視化することで、迅速な被災箇所の把握を支援する。
 また、これらの情報と各種災害情報を統合し、組織内外に共有する情報連携基盤D-Resilioにより適切な情報を迅速に共有することで、災害対策がより効果的に行えるようサポートするとしている。