フィールドコムは、飛行日誌をLINEから作成できるLINE公式アカウントサービス「ドロレコ」を展示した。飛行日誌は2022年12月以降に特定飛行を行う際は作成が義務づけられており、特定飛行を行わない際でも作成が推奨されている。

 しかし、飛行日誌の作成を手間に感じるパイロットは多く、作成する際に記録すべき項目が多数あることから記入ミスなどが発生しやすい。今回展示されたドロレコは、このような手間を削減しながら飛行日誌の作成を習慣化できるサブスクリプションサービスとなっている。

パイロット目線で作成されたサービス

 ドロレコは黎明期からドローンを操縦してきたパイロット目線で作られたサービスであり、できるだけ楽に飛行日誌を作成したいというパイロットのニーズをくみ取って開発された。ドローンパイロットと聞くと個人パイロットを想像する方も多いかもしれないが、飛行日誌を作成しなければならないのはドローンを使用して事業を行う企業も同じだ。

 企業の場合は数十台ドローンを所有していることも珍しくないため、従来のExcelで飛行日誌を作成する手法は手間がかかる。実際、フィールドコム代表取締役 眞野 方仁氏も今までExcelベースで飛行日誌を作成していたものの、12月に公開された飛行日誌の取扱要領の全てに対応はできていなかった。面倒に感じていたところで飛行日誌に関する改正が行われたため、これを機に誰でも簡単に手順を踏めば、飛行日誌を作成できるサービスを作ることを決めたという。

 新しく記録サービスを作成するとなるとスマートフォンアプリを想像しがちだが、アプリは最初に自分で使い方を覚える必要がある。一方LINEは多くの人が使い慣れており、何かをアクションしたら反応が必ずあるため、このチャット機能を当てはめたサービスとしてドロレコは開発された。利用金額は初月無料で2カ月目以降は1機ごとに550円/月が発生する。

ドロレコで利用できる飛行日誌作成機能

 ドロレコはLINEを利用して飛行日誌を記録するサービスであるため、何かしらアクションをすると自動で返信が届く。この機能を活用して「次はこれをしてください」という指示にパイロットが従って対応することで飛行日誌が作成できる仕組みだ。

 例えば、ドローン飛行の直前に行う飛行記録(様式1)と日常点検記録(様式2)を記録する場合においては、以下のような流れで飛行日誌を作成する。

 操作方法はいたってシンプルな設計になっており、事前に登録を済ませてある機体を選択してLINE上での指示に従い、基本的には選択していくのみ。位置情報や飛行詳細など、選択・自動入力では補いきれない点がある項目に関しては手入力も可能だ。
 飛行前点検のような工数が多い項目は選択式になっている。デフォルトでは正常が選択されているが、異常を発見した際にはその場で修繕対応を実施したかなども記録できる。

 これらの入力によって作成された飛行日誌は、LINEメニュー及び会員サイトより確認・出力が可能だ。実際に筆者の機体情報を使用して入力した飛行日誌等は以下のように出力された。なお、データ自体は専用のクラウドに保存されPDFで出力できるが、共有機能などを使用すれば専用クラウドを経由してDropboxなどに保存することもできる。

ドロレコ全体で利用できる機能

 ドロレコで利用できる機能の中心となるのは飛行日誌作成機能だが、そのほかにも機体登録有効期限の事前通知や点検整備などのタスク通知なども利用可能だ。全体としては、以下のような機能を備える。

無人航空機の飛行日誌の取扱要領に対応
機体登録制度の有効期限のLINEメッセージの通知
パイロット登録リスト搭載
複数機体の登録にも対応(但し、1機体1ライセンス)
飛行目的、飛行形態、飛行の影響など事項の選択機能
飛行場所のマップ対応、緯度経度抽出
飛行時間自動算出機能、総飛行時間の管理・積算
点検整備のタスク通知機能(総飛行時間20時間毎など、任意可)
記録確認やお知らせ事項などタスク対応、LINEメッセージ通知機能
記録データは全てクラウド運用、様式1~3の帳票印刷対応(PDF他)

 眞野氏は「パイロットの飛行日誌の習慣化が進めば、もっと国内におけるドローン社会は発展していくと思います。すべてのドローンパイロットが責任を持って飛行日誌を記載していかないと、ドローン社会の発展は訪れないでしょう。制度ばかりが定まってきてしまうといけないので、制度にうまく順応し、習慣化する必要があります」とコメントしているように、多くのパイロットが面倒に感じる飛行日誌を手軽かつ習慣的に作成できる体制・サービスの普及は今後のドローン業界が発展する上で重要なファクターとなるだろう。

▼飛行日誌の習慣化「ドロレコ」
https://hp.droreco.jp/

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