東京ビッグサイトで開催された「メンテナンス・レジリエンスTOKYO2023」の第9回国際ドローン展では、ツバサ・フロンティアが小型の農薬散布機となる「X1000」を発表した。小規模農家にとっては、取り入れやすい農薬散布機だ。

70万円台で購入できる手頃な「X1000」

 ツバサ・フロンティアが農薬散布を効率化するために発表したのは、軽量で扱いやすい5L液剤散布ドローンのX1000だ。カーボン素材を採用した機体で、プロペラは取り外しが可能。重量は4.5kgと女性1人でも軽々と持ち上げられるほど軽量であるため、高齢の農業従事者でも扱いやすい機体だといえるだろう。機体寸法は750×750×480mmと、車の助手席などに載せて持ち運びしやすいサイズ感となっている。

 散布可能時間はおおよそ11分間で、60aの農薬散布を行うことが可能だ。担当者は、「個人の農業従事者は代行業者に農薬散布を依頼しているケースも多いため、X1000を利用すれば気軽に農薬散布を行えるようになります」と話す。なお、農薬散布機の相場は100~300万円前後といわれているが、X1000の販売価格は71万5000円(税込)とコストパフォーマンスが高い。そのため、初めて農薬散布用ドローンを導入したい方にとっても安心して購入しやすい価格帯といえる。

スマート送信機を利用して完全自動で農薬散布が行える

 X1000は、Androidタブレットが内蔵されたスマート送信機を利用して農薬散布を行うことが特徴。完全自動で農薬散布が行えるため、人件費や手間をカットできる点も魅力だ。自動散布飛行モードでは、セミオートモードとA-Bポイントモード、完全自動散布モードの3種類がある。複雑な形の圃場に適しているのは、GPSで飛行経路がずれないよう自動補正可能なセミオートモードだ。完全自動で飛行させたいなら、完全自動散布モードを選びたい。自動散布機能を使用することで、散布時の農薬のムラやばらつきも抑えられる。

 X1000に搭載されている反発噴霧ノズルは、飛行する高さによって散布幅を2~4mに変更できる。ノズルにはゴムマウントが採用されているため、壁などに衝突した場合でも衝撃を吸収することが可能だ。日本国内の修理依頼には柔軟に対応しており、事務所や熊本県の飛行場にて機体を購入した利用者のトレーニング・飛行申請などもトータルサポートする点がメリットとなっている。

空撮や大気観測を行えるカイト型ドローンも開発

 スカイリモートの岡部氏が技術顧問となり、ツバサ・フロンティアではカイト型ドローンの開発も行っている。カイト型ドローンは1999年から活用しており、空撮や中国などでの大気観測などに携わっている。カイト型ドローンの強みは、固定翼であるため飛行距離が長い点だ。カイト型ドローンはバッテリーに負荷がかかりづらいことから、長く遠くへ飛ばしやすいという特徴を持つ。

 担当者は「広域の空撮や送電線の点検、災害状況の把握など、一般的なドローンよりも広範囲に使用していきたいと考えています」と語る。空撮や点検などにカイト型ドローンを用いる際には、ジンバル付きのカメラを搭載して飛行する。

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