岡谷鋼機のブースでは、同社のパートナーであるセンシンロボティクスのドローンを展示していた。同社は社会インフラ、設備現場の業務を効率化するためにサービスを展開している。今回のイベントでは、暗所・高所・狭小部を飛べる小型自動飛行ドローン(開発中)の展示と、設備や書類業務の管理が行えるクラウドサービスを出展していた。
開発中の小型・軽量なドローンで非GPS/GNSSの建屋内を点検・監視
この新たなドローンを活用したサービスを、センシンロボティクスと竹中工務店、アクティオが共同で開発している。センシンロボティクスはソフトウェア・機体の開発、竹中工務店はBIMの知見提供、アクティオはドローンの提供、そして岡谷鋼機ら計5社が今秋10月ごろから「BIM×Drone」(ビムクロスドローン)サービスにこの新たな機体を加え、点検・監視サービスを開始する予定だ。
現在開発中のドローンのサイズは、約30cm以内・約1kgと小型・軽量で、ペイロードは160gほど。設備の狭いパイプや柱の間などの狭小部でも利用できる点が売りである。最大の特徴は、GPS/GNSSが入らないような建設現場やプラント、大型商業施設の建屋内や地下などで点検業務が行えることだ。
PC上で作成した3DデジタルモデルのBIM(Building Information Modeling)を使い、ドローンの飛行経路計画を策定し、ウェイポイントを自動で辿りながら、現場を定期巡回できる。一度だけ飛行ルートを設定すれば、あとはドローンが必要な箇所を点検してくれるようになる。
ドローンにホームポイントを指定し、その起点からどれぐらいX/Y軸方向に移動したのかを内蔵のIMUで測定し、カメラの画像情報と合わせながら位置を把握しているという。現状では、BIM(3Dモデル)はドローンを飛ばす際のルート確認時に、視覚的に分かりやすく表示するために使っているそうだ。
将来的には、ステレオカメラで撮影した映像から自己位置推定と環境地図作成を同時に行う「Visual SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)」技術と組み合わせていくという。Visual SLAMで生成した環境マップ上にBIMデータを合体させ、障害物を把握しながら、PC上でリアルタイムに位置情報を表示し、ドローンを安定飛行できるようにする予定だ。
このドローンは点検・監視業務のほか、大型倉庫内の商品管理などでも活躍する。現状は映像での確認となるが、商品にARタグを付けてデータから在庫数などを把握できるような仕組みも提案していくという。
点検後に欠かせない設備情報や不具合箇所の報告業務を大幅に軽減
ドローンの点検は、不具合の発見・特定がメインの任務になるが、その後の対応も大切だ。そこでセンシンロボティクスでは、メンテナンスに付随する業務を効率化できる設備・施設管理ソリューション「ゲンコネ」のデモも実施していた。
これは不具合・修繕部分の対応情報や設備情報を一元的に管理できるクラウドサービスだ。Google Mapの設備版というとイメージしやすいかもしれない。不具合があった部分をドローンの全方位カメラなどで撮影し、再点検時にピンを打ったマップ上で点検作業員が状況を確認できるという。
巡回点検の際には、その場で点検コメント記録、写真をクラウドにアップロードできる。いちいち点検作業者がオフィスに戻ってレポートをつくる必要がなくなり、業務の負荷が大幅に軽減される。
まだ少し将来的な話になるが、設備点検ソリューションとドローンが連携することで、何か不具合のアラートが上がってきたときにドローンが自動飛行し、その場所に点検に行って確認してくれることも可能になるかもしれない。そうなれば、よりいっそうドローンの活躍範囲も増えていくだろう。
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