6月26日から28日に開催されたJapan Drone 2023に三菱重工が出展し、航空機開発の経験とノウハウを活かした2種類のドローンを展示した。2022年冬から実証を開始しているシングルロータータイプの小型ドローンと、2022年に初飛行を行った中型ドローンだ。

三菱重工が展示した「小型ドローン」の実機と、パネルに実寸代で描かれた「中型ドローン」。

長時間・広範囲の点検を意識した小型ドローン

 実機を展示した小型ドローンは、シングルロータータイプを採用した全長約2mの機体となっている。動力源にエンジンを使用することで、巡航速度60km/h(最大90km/h)、航続時間は2時間という特性を有する。また、7kg(燃料含む)のペイロードを確保し、耐風性にも優れているのが特長だ。

 用途は広範囲の点検・巡回・巡視を想定しており、中部電力とスマート保安の実証実験も行った。実証実験ではダムの巡回監視を行い、スピーカーを搭載することで河川放流時の注意喚起も実証したという。なお、発着地まではワゴンタイプの乗用車でも運搬可能としている。

小型ドローンは、長時間の航続を実現するためエンジン駆動で、耐風性を考慮したシングルローターを採用した。

全長約6m!物資輸送向け中型ドローンにハイブリッドの動力源を搭載予定

 中型ドローンは、全長約6m、ペイロード200kg、機体重量500kgを超える物資輸送向けのドローンだ。2022年から開発が始まり、同年9月には初飛行を成功させている。Japan Drone 2023では、大型の機体となるため実機の展示はなかったものの、会場の展示パネルに実寸大でその姿が描かれ、多くの来場者が注目していた。

 この中型ドローンの動力源はモーターとエンジンのハイブリッドとしており、そのサイズでありながらも巡航速度60km/h(最大90km/h)、航続時間2時間を目指しているという。

会場では、中型ドローンが飛行する動画も展示された。

 なお、今回展示された2機種は、タブレット操作による自動航行・飛行ルート自動生成、複数機による協調制御、自動着艦(船)機能に対応している。

 いずれのドローンも対象ユーザーは、インフラ関係や災害対応、官公庁などを想定。三菱重工は自身の航空機製造の経験とノウハウを活かし、将来的に型式認証の取得を目指すとしている。

 来場者の反応について会場の担当者は「中型ドローンの大きさが来場者に伝わったかなと思います。その存在感が注目を集め、多くの来場者に立ち寄ってもらえました。このような大きいサイズのドローンは機種が少なく、期待値も高いことが分かりました。そのペイロードや耐風性能などの仕様についても多くの関心が寄せられました」とコメントした。

 三菱重工は、インフラ事業者や国の機関、自治体などと協力しながら実証と開発を進めていく予定だ。直近の実証計画について担当者は、「中部電力以外の数社と共同プロジェクトを進めています。水面下でさまざまなプロジェクトが進行しています」と述べた。

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