2023年5月24日~26日の期間、幕張メッセで開催した「建設・測量生産性向上展2023」で、ドローン業界を牽引するDJIが、DJI Dockを国内で初披露した。5月に発表したばかりのフラッグシップドローンであるDJI Matrice 350 RTKも出展され、多くの注目を集めた。

据え置き型で無人のドローン活用を支援するDJI Dock

DJI Matrice 30(Dock版)を格納するDJI Dock。離陸時は屋根が開き、自動で飛行する。

「DJI Dock」は、「DJI Matrice 30(Dock版)」の活用をさらに効率化するドローン格納庫だ。DJI Dockに格納されたDJI Matrice 30(Dock版)は、最大風圧抵抗15m/s、保護等級IP55を備えており、巡回監視や点検、災害救助などの幅広い業務に役立てられる。

使用しない時は格納した状態となる。上部には風速計が備えられており、飛行環境も把握することができる。

 DJI Dockを導入すれば、操縦士がドローンを離着陸させる必要がなく、離陸からミッション、着陸までの動作をすべて自動化することが可能となる。そのほか、収納時の充電機能や着陸後の位置調整機能、機体温度を調整する内部エアコンが備えられた。

DJI Matrice 30(Dock版)。

 担当者は「DJI Matrice 30(Dock版)は、DJI Matrice 30Tと同じサーマルカメラとズームカメラを搭載しているため、特に点検分野で活用しやすいドローンとなっています」と説明した。

 点検業務の例では、サーマルカメラを使った建物の外壁点検でのタイル浮きの把握や、高解像度のカメラを使った橋脚の点検などが想定され、24時間天候に左右されずに業務を遂行することができる。DJI Dockを使用することで、高所などの危険な場所もフライトミッションを作成しておけば、週に1度や月に1度の定期点検をまったく同じルートで飛行することができ、同じ画角で撮影することによって、経年劣化などを的確に判断することが可能となる。なお、フライトミッションはDJI FlightHub2を使って計画するという。

 5月末現在では、DJI Dockの販売時期や価格は未定となっている。

ワイドな形状で大画面の送信機に刷新されたDJI Matrice 350 RTK

5月にリリースされたDJI Matrice 350 RTK。

 DJIは、DJI Dockのほか、5月18日に発表したフラッグシップドローン「DJI Matrice 350 RTK」を出展した。DJI Matrice 350 RTKは、インフラや林業、公共安全など幅広い分野への利用を想定したドローンだ。

 保護等級IP55に対応し、防塵性・防水性を備えており悪天候下での運用も可能。対応する気温は-20℃~50℃と幅広く、飛行環境の厳しい地域でも業務を遂行できる。最大飛行時間は約55分、バッテリー充電サイクルは約400回となっており、長時間の業務にも耐え得る仕様となっている。さらに、4アンテナ送受信システムを搭載したことにより、最大伝送距離は約20kmを達成している(日本では最大8km)。

 DJI Matrice 300 RTKの後継機にあたるDJI Matrice 350 RTKは、DJI Matrice 300 RTK から大きく変更した点が3つある。1つ目は、FPVカメラを夜間飛行時でも視認できるように変更し、解像度はフルHDに対応した。2つ目となるのが、IP55規格に準拠したことで防水仕様となった点。そして、3つ目が7インチ高輝度画面を採用したDJI RC Plus送信機だ。従来の送信機は、屋外の陽があたる場所で使用すると、モニターに太陽光が反射してしまい視認性が悪くなることがあったが、反射しにくい設計に改良されている。また、スイッチ類は指の届く範囲にレイアウトされており、従来の送信機では操縦する際に手を離さないといけない場面もあったが、DJI RC Plusでは、送信機を構えた状態ですべての操作ができるようになっている。

刷新された送信機DJI RC Plus。程よい大きさでモニターの視認性も良い。

 DJI Matrice 350 RTKは、搭載する機材によって活用する業務分野もさまざまだ。例えば、写真測量を行う場合、フルサイズセンサーを搭載したカメラ「DJI Zenmuse P1」を搭載すれば、高精度な写真測量が可能になる。また、レーザー測量は「DJI Zenmuse L1」を使用するといった具合に、業務に応じたペイロードが用意されているのも特長のひとつだ。

「さまざまなカメラをラインアップしており、幅広い業務に対応しています。企業によっては写真測量だけではなく、レーザー測量もドローンで行いたいということから、ドローンを複数機所有したり、買い替えるといったケースも少なくありません。DJI Matrice 300 RTKは、機体を軸とし、カメラを交換するだけであらゆる業務に対応します」と担当者は話す。

 点検業務に最適なカメラは、12MPのカメラに20MPのズーム機能やレーザー距離計、夜間撮影モードを備えたDJI Zenmuse H20シリーズだ。640×512pixのデュアルサーマルカメラのDJI Zenmuse H20Nは、夜間の視認性に優れ、火災の熱源をいち早く探し出す必要がある消防活動などにも効果を発揮する。

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