石川エナジーリサーチのビルドフライヤーに搭載された「AA450ドローンレーザー」。

 5月24日から26日の期間、千葉県(幕張メッセ)で開催された「第5回 建設・測量生産性向上展」にオーピーティーが出展し、ドローン専用のレーザースキャナー「AA450ドローンレーザー」を発表した。2022年から販売は開始しており、高性能でリーズナブルな価格帯であることから順調に販売実績を伸ばしているという。希望小売価格は437万8000円(税込)。

低価格帯で同時撮影可能なUAVライダー

 UAVレーザースキャナーは、1000万円を超える価格帯がほとんどで、高価な機材となる。オーピーティーが販売する「AA450ドローンレーザー」は、コストパフォーマンスに優れ、高価格帯のUAVレーザースキャナーを導入することが難しいユーザーに選ばれている傾向があるという。

 同製品は、レーザーの測量機とカメラが一体となった設計であり、点群データと写真データの同時取得を可能にした。幅広いUAVプラットフォームに対応しており、DJI Matrice 300 RTKを始めとした流通量の多い主力機種にワンタッチで手軽に取り付け可能だ。ボディには、利便性が高いUSBタイプCポートを搭載している。

 機器重量は、1kgと軽量ながら堅牢なボディとなっており、保護レベルはIP64規格を取得している。ペイロードには、高性能レーザースキャナー、写真測量向け26MPカメラを備え、制御装置として慣性計測装置(IMU)を搭載している。慣性計測装置とは、3次元の慣性運動を検出する装置を指す。機器寸法は、128×128×675mm。取得したデータの保存容量は256GBとなっており、長時間、広範囲の測量を行っても十分なデータを保存可能だ。ドローンを約30分飛行させた場合、おおよそ2km²のエリアのデータを取得することができるという。レーザースキャナーで取得したモノクロの点群データに、可視光カメラで撮影した写真を貼り込むことで鮮やかなカラーデータを生成でき、地形のデータを一目で把握しやすい。

判別が難しいモノクロデータから鮮明なカラーデータへ

AA450ドローンレーザーで取得した点群データと写真データを合成する。

 UAVレーザースキャナーは、レーザーでデータを取得することが特徴だ。写真測量では、上空から目に映るものしか測量できないが、レーザーは樹木の間をすり抜け、地面まで届くことによって地形データを取得することが可能となる。

 写真測量では、森林や林の詳細な地形データを取得するのは困難だった。そのような場所では人が直接立ち入り、範囲が広くなるほど処理に膨大な時間を要していた。しかし、AA450ドローンレーザーを用いれば、フィルタリング処理を施して樹木を除去することで、仮想地表面を抽出できる。

 従来の写真測量用カメラは、1インチセンサーのカメラを搭載するのが一般的だったが、AA450ドローンレーザーはデジタル一眼カメラと同等のAPS-Cのセンサーサイズを搭載することで、高画質で鮮明な撮影が可能となる。また、これまでのレーザーの点群はモノクロだったことから、詳細の判別が難しいケースが多かった。一方、AA450ドローンレーザーは、レーザー測量と写真測量を同時に行うことで、モノクロの点群データに画像データを付けられるため、詳細を判別しやすいといった特長がある。

付属する「CoPreソフト」で点群データの精度を向上

 測量で取得したデータは、点群データやオルソ画像を作成するために解析が必要となる。そのため、AA450ドローンレーザーにはCHCNAV社が独自設計した「CoPreソフト」が付属している。これは、シンプルさと効率性を兼ね備えていることを特長としたデータ用プリ・プロセス・ソフトウェアで、点群処理や画像照合など、多様な機能を搭載している。AA450ドローンレーザーに付属しており、無料で利用することが可能だ。

 AA450ドローンレーザーは国土地理院「UAV搭載型レーザースキャナーを用いた公共測量マニュアル(案)」に準拠しており、生産性向上要件証明書が発行されている。なお、使用温度は-20℃~+50℃、保管温度は-20℃~+65℃で幅広いシーンの使用に耐え得るモデルだ。

 AA450ドローンレーザーを活用すれば地形データとカラーデータを取得でき、樹木が生い茂る場所でも短時間で測量をすることが可能になる。低コストで高品質なドローンレーザーを導入したいなら、AA450ドローンレーザーを選ぶのも良いだろう。

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