5月24日~26日に幕張メッセで開催された「建設・測量生産性向上展2023」では、エクシオテックが、非GPS環境下での点検業務などで利用が拡大している「Skydio J2」のほか、農業センシング用の「DJI P4 Multispectral」を展示した。

「DJI P4 Multispectral」を使用した農業センシング

エクシオテックが採用している「DJI P4 Multispectral」。空撮用の「DJI Phantom 4」にマルチスペクトルカメラを搭載し、作物の生育状況などを分析することができる。

 エクシオテックでは、マルチスペクトルカメラを搭載した「DJI P4 Multispectral」を活用し、2020年より山梨県のぶどう農園で農業センシングを積極的に行っている。

 ドローンで撮影した画像をソフトウェアに取り込み、その写真にオルソ補正を施してオルソ化する。オルソ写真は画像の歪みを抑えられるため、圃場の区画内のぶどうの木の生育状況が一目でわかる。生育不良のぶどうの木が分かれば、ピンポイントで肥料の散布などの対策を講じることができるため、収穫量アップや品質向上を図ることが可能だ。

 ぶどうの栽培時期となる4~11月は、毎月ドローンでデータを取得し、木の成長具合いを観察しており、取得したデータは、葉のクロロフィル含量指数(SPAD値)と土壌の窒素・リン酸・カリなどとの相関関係を見出すことに役立てているという。

 エクシオテックでは、農業センシングにDJI P4 Multispectralを導入してから3年が経過したと話し、「過去のデータを活用して効率的にぶどうを栽培することに役立っています」と大きな成果を得ている様子だった。

GNSSの電波が届かない焼却炉内でも安定して点検可能な「Skydio J2」

 通常のドローンは、GNSSの電波を受信することで自己位置を推定しているが、「Skydio J2」はVisual SLAMによって自己位置を推定し、安定した飛行を行うのが最大の特長だ。Visual SLAMは、搭載したカメラで周囲を撮影し、特徴点を捉えることによって周囲の地形や障害物を視覚的にドローンが把握する技術であり、Skydio J2は搭載した6個のカメラで360度を撮影しながらリアルタイムに周囲環境を把握し、障害物などを自己判断で回避する。

 エクシオテックでは、焼却炉内のような狭隘部での点検に利用しており、この特長を活かすことで安全に業務を遂行しているという。

 障害物に近づくと自動で停止し、衝突などの事故を未然に防ぐことが可能。また、一般的なドローンはランディングパッドから離着陸を行うが、コンパクトなSkydio J2であれば、手の上から離着陸を行うことができる。小型かつ障害物を自ら把握できることから、初心者でも取り扱いやすいドローンだと言えるだろう。飛行時間は約23分で、最大速度は58km/h。カメラは4K(1,200万画素)に対応していることから、鮮明なデータを取得できることが強みだ。

 エクシオテックでは幅広い産業分野のニーズに合わせた商品をリリースし、ソリューションサービスを提供してきた。今後は、災害現場でのドローンの利活用も積極的に行っていく方針だ。災害が起きた現場をドローンで空撮し、ライブ映像をリアルタイムで災害対策本部に送り、民間人の安全を守ることを目指す。2022年は静岡県の「総合防災訓練」、2023年は「第71回利根川水系連合・総合水防演習」にそれぞれ参加し、5月にMatriceシリーズを飛ばすデモンストレーションを行った。

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