産業ガスメーカーであるエア・ウォーターのグループ会社で、ドローン関連サービス事業を展開するセブントゥーファイブは、狭小空間点検用小型ドローンのほか、物流や防災向けの多用途産業用ドローン「AIR HOPE」の新型国産ドローン2機種を初公開した。また、各実証実験やドローンを使った点検業務の取り組みについて、映像を交えたパネル展示で紹介していた。

国産初の有線給電対応の狭小空間点検用小型ドローンを発表

有線給電モデル「STF-5i001」。
バッテリーモデル「STF-5i002」。

 ブースで注目を集めたのは狭小空間の点検用に開発された小型ドローンだ。小型の点検ドローンは、非GPS環境下での煙突やダクト、ボイラーなどの施設内点検に活用されている。今回同社が発表した機体は、有線給電モデルとバッテリーモデルの2種類だ。

 小型ドローンは大型ドローンのようにペイロードが大きくないため、給電ケーブルを積載することが難しかったが、モーターやケーブルの仕様などを最適化することで有線給電タイプの開発が可能となったという。

球体ガードに守られたカメラ。

 外形寸法は両タイプとも374(L)×374(W)×195(H)mmで、重量は有線給電モデルが1560g、バッテリーモデルが1870g。最大飛行時間がバッテリーモデルは約8分で有線給電モデルは検証中とのことだが、バッテリーモデルよりも長時間の飛行が可能となるため、時間を気にせず点検作業が行えることをメリットに感じるユーザーは多いだろう。

 開発には、産業ガス関連事業・エネルギー事業などを展開しているエア・ウォーターグループという強みを活かし、プラントの設営・運営に関するさまざまな知見やノウハウ、またドローン点検作業を請け負ってきたことによる工場やインフラ点検の経験と知見をもとにしたという。実際に点検現場で操縦したパイロットの目線から形状やスペックなどを検討したそうだ。今秋より販売を開始する予定としている。

多様なニーズに応える産業用ドローン「AIR HOPE」

中型産業用ドローン「AIR HOPE」。機体は石川エナジーリサーチの「ビルドフライヤー」をベースに共同開発した。ビルドフライヤーの特徴である跳ね上げ式の脚や、折り畳み式のアームはAIR HOPEも受け継いでいる。

 もう1つの新型ドローンは、特定用途に限らず複数の用途に活用できる汎用性の高い機体として開発された「AIR HOPE」だ。これは石川エナジーリサーチの「ビルドフライヤー」がベースとなっており、セブントゥーファイブのドローンソリューション事業のユーザーから要望の多かった機能などを追加する形で、石川エナジーリサーチと共同開発したもの。

 4本アームのマルチコプター型のAIR HOPEは、本体とアームにマグネシウム合金を採用することで軽量化を施した。外形930(L)×930(W)680(H)mm、ジンバル、バッテリー込みの重量が約15㎏。最大飛行時間は離陸重量が11.6kgの場合に45分となっており、現在、バッテリー、ジンバル搭載時の飛行時間は検証中としている。

カメラは市販の一眼レフカメラなどに対応。展示機体にはソニーのα7Rが取り付けられていた。

 多様なニーズに応えられるように豊富な追加機能を搭載可能としており、機体下部にはカメラや搬送用ボックスを付け替えることができ、活用の柔軟性に優れている。取り付けられるカメラは市販されている一眼レフカメラ等でも対応可能なため、別途、専用のカメラを用意する必要がない。また、防災対策や物流分野など、用途ごとにパッケージ化することも可能で、ドローンを現場に導入しやすい体制を整えているとのことだ。

 ブースで紹介していた「防災ドローン スターターキット」パッケージは、AIR HOPE防災セット、技術導入支援サービス、ドローン管理システムがセットとなっている。これにより、災害時にAIR HOPEで空撮した画像から被害を把握したり、物資を運搬することができ早期の被害対策に活かせる。

 JapanDrone2022終了後のデモフライトでは、追加機能としてカメラ操作に集中しやすくするための2プロポ対応が発表された。2人のオペレータは機体操縦とカメラ操作に役割を分担して業務にあたることが可能になる。自動航行も実証実験中とのことで、多様なニーズに応える機体となっている。

#JapanDrone2022 記事