包装容器の製造・販売を行う東洋製罐は、スプレー缶製品技術を生かした「遠隔型スプレー缶噴射装置SABOT」を開発し、開発中の新モデル「SABOT-3」、小型噴射装置「SABOT-mini」を展示した。

改良型噴射装置「SABOT-3」、補助噴射装置「増槽」。

 SABOTは、ドローンに搭載することでスプレー缶の内容物を遠隔操作で吐出することができる装置だ。スプレー缶やノズルは簡単に交換することができ、スプレー缶の液剤を取り替えることでさまざまな用途に適用することができる。

 販売中のモデルSABOT-AA-11に対応するDJI Matrice 210 V2の生産終了に伴い、後継機となるDJI Matrice 300 RTKに対応した「SABOT-3」を開発した。装置重量約680g(スプレー缶含む)で最大噴射距離は5mとなる。SABOT-3は最新のDJI Payload SDK V3.1を用いて開発されており、DJI SKYPORT V2によって機体に取り付けるだけで使用することができる。特別なハードウェアやソフトウェアのインストールは不要とし、Payload SDKを介してDJIアプリであるDJI Pilotに操縦画面が送信されるため、手軽にスマートコントローラーからの遠隔操縦が可能だ。

販売中のモデル「SABOT-AA-11」。対応機種はDJI Matrice 210 V2 / RTK V2。装置重量670g(缶・ノズル込み)。ノズルと同軸にカメラとレーザ測距センサを備える。
ブースで公開していた紹介映像。ノズルカメラの映像が表示された操縦画面。レーザ測距センサから得られた対象物までの距離と、缶の内容物の液性から着弾予想位置が計算されており、高精度な噴射作業を可能にする。機体操縦用プロポによる遠隔操作でホバリングした状態から上下左右に噴射が可能。
SABOTで殺虫剤による蜂の巣駆除作業も行う。通常ならば高所作業車が必要な場面でもドローンにより短時間、低コストで作業ができる。

 また、多くの要望の声を汲み取り、スプレー缶の搭載数増加に加え、噴射可能量を増やすためのSABOT-3用補助噴射装置「増槽」を開発した。従来のスプレー缶1本当たりの容量は150ml。最大4本の増槽が取り付け可能で、SABOT-3に増槽4台を追加することにより、最大5本750mlの噴射が可能になる。より幅広い用途に対して作業することができる。

展示されていた「SABOT-3&増槽」。増槽はスキッド部分に装着され、缶は並列つなぎになっており、本体+増槽(2台もしくは4台)で、スプレー缶を最大5本搭載することができる。SABOT-3(スプレー缶含む)+増槽4台を含めると総重量約2220g。DJI Matrice 300 RTKの最大ペイロードは2.7kg。