水中ドローンに関する人材育成や機体販売、撮影、普及活動など幅広く手掛けるスペースワンは、中国・CHASING社の最新機種「CHASING M2 PRO MAX」の実機を展示し、世界初のデモを行い注目を集めた。

M2 PRO MAXを初披露!最大潜航深度200m、最大稼働半径400mで幅広い用途で利用可能

6月に発売予定のCHASING M2 PRO MAX。
新素材・新技術を採用したスラスター。前後に4基計8基を装備し、出力はM2 PROより30%アップ。水流に対して姿勢を安定させる力や運搬能力が高まった。
CHASING M2 PRO MAXのデモンストレーションが行われた。前後左右、チルト、横回転など水中で360度スムーズに移動していた。

 一般向けに初公開となったのが、この5月に情報が解禁されたM2 PRO MAX(6月に発売予定)。M2 PROより性能がさらに向上したCHASING社の新たなフラッグシップモデルとなる。M2 PRO MAXは、最大稼働半径400m、最大深度200mまで潜航可能で、最大速度は3ノット。8基のスラスターは、M2 PROと比較してモーター出力が30%向上した。前後左右、チルト、横回転など水中で360度の移動が自由自在に行えるとのことで、実際のデモでも滑らかな動きを見せた。さらに、一定の深度で作業をしたい場合には、同位置で深度を固定する「深度ロック機能」を使うことで操縦が容易となり、ほかの作業に集中できる。

外付けフィルライトは左右に1つずつ装備し、1つが最大4000㏐の明るさ。本体横から上部に伸びるようにレイアウトされている。ライトは収納可能だ。本体中央に設置されたカメラは、4K・1800p動画と1200万画素の静止画に対応。1/2.3型SONY CMOS、EIS手ブレ防止機能を搭載し、水中でも鮮明に撮影できる。
最大の光量だとかなり明るく、水中ドローンの弱点ともいえる濁度の高い水中での撮影において、従来機よりも適応性がアップしたと見られる。

 また、太陽光が届かない水中環境に欠かせないライトは、1つ4000㏐の明るさを持つLEDフィルライトを2つ外付けした。ライトを本体横から上部に伸びるようにレイアウトしたことで、最適な照射角度150度を実現した。これにより、水中のプランクトンなどが反射する視覚的な干渉といった浮遊物の映り込みによる影響を軽減した。また、ライトは0~100%の範囲で状況にあわせて無段階に明るさを調整できる。

内蔵型のドッキングステーションは最大5つのアクセサリーに対応。接続ポートは機体上面と底面に合計で5つ。写真は機体上面で、ユニバーサルポートが1つ、汎用ポートが2つの計3つのポートがある。
アクセサリーは20種類以上と豊富。写真は「ロボットアーム2」でロボットアーム本体に、把持力の強い2本詰めヘッド、採取に使用するサンプラー、引っ掛けなど多用途のサークルタイプの3種類のヘッドがセットになっている。M2/M2 PROと共通で使用できる。

 運用用途を広げるアクセサリーなどは20種類以上と豊富で、ドッキングステーションを内蔵したことにより簡単に接続でき、同時に最大5つのアクセサリーを取り付けて使用できる。担当者によると「バッテリーの持ちは運用によって3~4時間程度」とのことだが、オプションの陸上電源システムを使用すれば、500Wの出力で無制限に稼働できる。

最大深度150m、バッテリー交換や地上・船上給電に対応し長時間の作業が可能な「CHASING M2 PRO」。
4K対応カメラとEISを搭載し、安定した高画質な撮影で人気のある「CHASING M2」。

 同社の展示ブースではほかにもプロ向けの産業用水中ドローン「CHASING M2 PRO」、水中撮影などで人気のある「CHASING M2」の実機展示など、水中ドローンを中心とした展示を行っていた。
 担当者は「M2 PROは、船底調査や海底・海中調査のほかに、海外では養殖の生簀でへい死魚を取り除いたり、網の点検に使用されており、生簀の生産量の確保に貢献している。新発売のM2 PRO MAXはより性能が向上し、操作性も良い。アクセサリーの装着も簡単なので、作業効率が各段にあがると思う」と話す。動作性能の良さ、豊富なアクセサリーを備えたM2 PRO MAXは、水中のさまざまな業務の安全性と生産性を向上させる産業用水中ドローンの1つとして活躍が期待される。