光通信分野の専門商社として実績を重ねているハイテックは、中国RoboSense社製LiDARを多数取り扱っている。
このRoboSense社というのは2014年に設立した中国のスタートアップ企業で、AIアルゴリズムやICチップセットを組み込んだスマートLiDARセンサーシステムの開発を手掛けている。AI認識による障害物の検出や分類などの機能を備えているのが特徴であり、LiDARは近年注目されている自動運転技術に用いられる。
前方認識・近距離死角検出 次世代32ビームLiDAR「RS-Helios」
同社展示ブースで注目されていたのが、次世代32ビームLiDAR「RS-Helios」だ。RS-Heliosは、ロボット、自律走行車、車両通信システム V2X(Vehicle to everything)、およびマッピングアプリケーション向けに開発され、32本のレーザービームを放つことで障害物との距離を計測する。
取り扱っている製品は、長距離の認識と近接死角(水平下方55°)の検出が可能な「RS-Helios-5515」と、高精度3D点群取得が可能でマッピング分野での応用に活用できる「RS-Helios-1615」の2つのラインアップがあり、それぞれの本体サイズは直径10cm、高さ10cmとコンパクトでありながら、水平FOV360°、計測距離150m、防塵防水(IP67)といった性能を誇る。
それぞれの特徴としては、RS-Helios-5515はFOVの中央は高密度に、両端はまばらなレーザービーム配置になる設計を採用しており、150m先までの高精度な3D点群データを取得できる。また水平から55°下方向に傾斜するカスタマイズされた70°の超広角垂直FOVと組み合わせることで、近接場の死角を大幅に減少させ、長距離の認識と死角の検出の両方を可能にしている。RS-Helios-1615は、垂直FOV31°、均等に分布された32本のレーザービームにより高精度な地図作成に便利なLiDAR。最大で150m先までの3D点群データを取得できる。
車体周辺の死角領域をカバー「RS-Bpearl」 ループトップLiDARの死角領域をなくす
もう1つの注目製品は、車体周辺の死角領域を検出するために開発された新しいタイプの近距離超広角視野LiDARの「RS-Bpearl」。
現在の自律走行ソリューションのほとんどは、垂直方向の視野が限られていることや、車両の屋根の上(ルーフトップ)にLiDARを設置していることにより、LiDARによるスキャンが困難なエリア(車体周辺の死角領域)が存在する。そうしたなか、RS-Bpearは近距離死角検出を目的として設計されており、数センチ以内の物体を検出することが可能で、さらに水平FOV360°×垂直FOV90°の超広角視野角を持つことで、車体周辺の子供、ペット、路肩などの障害物を効果的に検出できる。車両の屋根の上に設置する(ルーフトップ)タイプのLiDARと組み合わせることで、ルーフトップLiDARだけではカバーしきれない死角領域をなくす役割を担うことができる。
その他、ソリッドステート型の「RS-LiDAR-M1」や、レベル4~5向けの最上級モデル「RS-Ruby」シリーズなど多彩なラインアップを展示していた。
自動車、ロボット、ドローンなど自律運転の開発が進む分野において、“目”の役割を担うセンサーの重要性は高まっており、とりわけ従来のカメラやミリ波レーダーの欠点を補うことができるLiDARの注目度は高い。ドローンや自律走行型ロボットでいえばリアルタイムマッピング、マッピングしたデータを使った自己位置推定、自律制御システムなどにLiDARの活用が見込まれる。特に非GNSS環境向けのドローンはLiDARがさらに活用されそうだ。