5月12日から14日の3日間、千葉市の幕張メッセで建設・測量生産性向上展「CSPI-EXPO 2021」が開催された。2020年度開催予定であった同展は新型コロナ感染症拡大に伴い開催が見送られたこともあり、今回は2019年5月以来、2年ぶりの開催となった。本展示会は文字通り建設とその中でも特に測量分野での生産性を向上させる技術の展示会だ。同展示会は3日間で3万2316名を動員した。

 今回のCSPI-EXPOのドローン関連出展者のブースでは、レーザー測量ソリューションとサービスが目立ち、サービス事業者の出展は十数社を数えた。2年前の同展に比べると写真測量ソリューションに関する出展は少なく、その一方でレーザー測量ソリューションが増えている。さらにレーザー測量については、地上測量用の近赤外線レーザーLiDARに増して、水中地形の測量も可能なグリーンレーザーのハードやサービスの出展が目に付いた。

 こうしたドローンによるレーザー測量の普及について出展者の説明員に聞いたところ、「国土地理院の作業規程が決まったことで、レーザー測量を仕事として発注できる、仕事として受注できるようになった。また、DJIのZenmuse L1のように、従来のものに比べて安価な近赤外線レーザーが登場するなど、世界的にレーザー測量の分野が活性化している」と見立てる。

 さらに「全体の流れとしては2019年頃までは写真測量が主流だったが、2020年頃からレーザー測量が当たり前になってきていて、さらにグリーンレーザーも注目され始めている。同時にこれまで国の測量マニュアルの基準が高かったが、改定と共に指定される機器の基準が下がり、選択の幅が広がったのも大きい。また、写真測量に比べてレーザー測量は確かに高いというイメージがあるが、作業期間で考えると例えば写真測量なら3か月かかるところが、レーザー測量であれば2か月で終わるなど費用対効果が高い。そういうメリットを発注者側もわかってきたのではないか」という。

 またグリーンレーザーについては「実用上、浅い水深でないと測れない、また、水が濁っていると測れないといったネガティブな見方もある。しかし、この “浅い水深しか測れない” というのが、まさにグリーンレーザーの使いどころ。特に海岸線の岩場やトンボロと呼ばれる浅瀬には測深機を積んだ船が入ることができない。こういう場所にグリーンレーザーのLiDARを積んだドローンが威力を発揮する」と話していた。

 こうしたレーザー測量の普及に伴い、LiDARの新製品も続々と登場している。特に今回のCSPI-EXPOでは、小型のLiDARの新製品が目立った。DJIのZenmuse L1やイエロースキャンのYellowScan Mapperは、従来のLiDARに比べて重量が軽く、Matrice300 RTKにも搭載可能。特別なアタッチメントを使うことなくDJIのSkyportに接続できるなど、ユーザーフレンドリーな使い勝手となっている。

 これらにはDJIの関連会社であるLivoxのレーザースキャナーが採用されており、小型・軽量化や低価格化に貢献しているといえる。こうした小型軽量のLiDARについて、ドローンレーザー測量サービスを行っている事業者は「リーグルのminiVUX-SYSシリーズやYellowScan VX20シリーズに比べると、精度面では物足りない部分もある。しかし、ハードの価格面では4分の1くらいと圧倒的に安く、毎日のように飛ばしたい工事現場の進捗管理などでは、写真測量用ドローンのように手軽に使える。また、軽くて飛行時間が延ばせるため、広大な山林で精度はそこそこでいいといった用途でも有効」だという。

 さらに「こうした安価なLiDARの登場で、レーザー測量のサービスも価格面での競争が強まり、市場が二分化していくことが見込まれる。同時に、森林計測といった測量用途に限らない使われ方が今後増えてくるだろう」とレーザー測量事業者は見ている。

三次元計測機器を輸入販売するオーピーティーが出展していた豪NextCore社のLiDAR「NextCore RN100」。日本のUAVレーザー測量の基準に適合しながら、800万円前後の価格とコストパフォーマンスに優れている。
オーピーティーのブースで参考出品として展示されていた中国CHCNAVの「AlphaAir 450」。LivoxのAviaスキャナとソニー製2400万画素カメラを搭載している。
レンタルのニッケンのブース内、SMGコンサルタントのコーナーに展示されていた、Matrice600 Proに搭載された米AstraLite社のグリーンレーザーLiDAR「Edge」。