ドローンの製造・販売からスクール、空撮などの事業を行うドローンワークシステムは、業界初の散布と物資運搬の二刀流ドローン「PHOENIX-AF30」、AGRIWORKSシリーズを展示した。

搭載ユニットを換装することで散布と物資運搬に対応するPHOENIX-AF30

業界初の二刀流ドローンPHOENIX-AF30。下部のユニットを交換することでタンク容量30Lの農薬散布(粒剤散布ユニットとタンク共用)、最大積載重量30kgを運搬する2つの用途に利用できる。プロペラを広げると2m近くになる大型機だが、アームが折り畳めるので軽トラックに積み込める。価格は400万円前後を予定している。
散布ノズルは6個で、強力なダウンウォッシュによりムラのない散布が可能。
モーターにはHOBBYWING X9 plusを搭載。

 ひときわ目を引いたのは、大型機の二刀流ドローンPHOENIX-AF30だ。下部のユニットを交換することで農薬散布と物資運搬のどちらにも対応する。農薬散布ユニットは、大容量の30Lタンクが搭載でき、強力なダウンウォッシュでムラのない散布を行う。これは、液剤/粒剤用タンクユニットのタンクと共用で、すぐさま換装できる構造だ。自動散布飛行については、圃場の手前をA点、圃場の奥側をB点に設定することで、A~B間を自動散布するAB点自動散布機能はプロポのスイッチ1つで設定でき、GPS誤差による影響も受けない。また、液・粒剤切れ時には自動帰還し、中断した位置から散布を再開してくれる自動継続再開機能を搭載することで、無駄な散布を削減した。手動で高度調整ができるので、丘陵地での散布も可能だ。また、オプションで2オペでの切替操縦ができ、同時通話対応インカムとFPVカメラでリアルタイムにオペレーター同士が意思疎通を行い、散布ロス・事故を抑え正確な農薬散布を実現した。
 搬送ユニットは、物資をホイスト(ワイヤロープで重量物を吊るす)するマニュアルのフック式を採用。受け手側に人がいることが前提となるが、これによるメリットはドローンの着陸場所を必要とせずに運搬できることだ。たとえば、傾斜地の果樹園や茶園などの収穫物の運搬などで役立てられる。担当者によると物資運搬に関してのオペレーションは、2オペの対面飛行を想定しているという。最大積載重量は30kgなので、林業の苗木運搬などにも活用できる。ちなみにAFという名称の由来は、Agri=農業、Forest=森の頭文字をとったそうで、農業+林業での活躍が期待される。

高性能で安定したフライトが魅力のAGRIWORKSシリーズ

AGRIWORKSシリーズ「AGR16B/24B」。写真はAGR16Bでサイズは1600(L)×1000(W)×640(H)mm(アームとプロペラを伸ばした状態)。タンク容量は16L、散布ノズルは4カ所で最大散布能力は4L/分。AGR24Bのサイズは1700(L)×1000(W)×740(H)mm(アームとプロペラを伸ばした状態)。タンク容量は24L、散布ノズルは6カ所で最大散布能力は6L/分。
粒剤、液剤、肥料まで散布が可能な新ユニット。タンクが共有となり1分間で取り換えが可能。

 同社の主力機であるAGRIWORKSシリーズAGR16B/24Bも展示されていた。ヘキサコプター機のAGR16Bは、タンク容量16Lで散布ノズルは4カ所、AGR24Bのタンク容量は24Lで散布ノズルは6カ所となる。こちらもPHOENIX-AF30同様、強力なダウンウォッシュによってムラのない散布が可能。そして、液剤/粒剤(直径1.2cm粒剤まで対応)のタンクは共用で、容易にユニットの交換が可能だ。

アームは折り畳むことができるので、軽自動車に最大4台搭載可能だ(車種による)。
機体前方にはFPVカメラを搭載。

 フライトに関してはAB点自動散布機能のほかに、同社独自の前進ワンウェイ自動散布システムを搭載し、AB点自動散布時に前進のみの自動散布も選択可能になった。また、独自開発のフライトコントローラにより、フルタンク時にも風に負けない安定したフライトを実現した。両機種とも飛行速度(AGR16Bは3-5-7m/AGR24Bは3-7-8m)、散布幅(AGR16Bは3-6-7m/AGR24Bは3-7-8m)がそれぞれ3段階に切り替えられるので、うね幅などが違う多様な作物に利用できる。アームを折り畳むことができるので、車種によっては軽自動車に最大4台積載可能だ。

標準セットで付くプロポはディスプレイ内蔵。

 AGR16B/24Bは、本体、ディスプレイ内蔵送信機(FPVカメラ映像)、粒剤/液剤用タンクユニット、インテリジェントバッテリー12S/22000mAh(AGR24Bの場合は12S/16000mAh×2)、バッテリー充電器が標準セット。粒剤用タンクユニットも標準セットに含まれるので、たとえば水稲栽培であれば、除草剤の散布(液剤)、追肥の散布(粒剤)、稲刈り当日の朝に圃場の上を飛行させて稲についた朝露を飛ばして稲刈り前の露払いを行うなど、1年中同機を利用して効率アップを図ることができる。
 同社は、ドローンスクールも運営しているため、購入後のドローンによる薬剤散布がスムーズに導入できるよう「農薬散布スタートコース」も用意され、購入後の機体の操作や農薬散布に必要な知識・技能が取得でき「自分で薬剤散布ができる」までをサポートする。
 同社説明員によると同社の機体は、安定性、機能、運用面について徹底してテストを行い、生産者にとって使い勝手のよいドローンを開発しており、今後も国産ドローンメーカーならではのきめ細かい機体開発・サポートを行っていく。