三共木工は創業から100年以上続く段ボール製品・梱包材の製造販売企業だが、2017年には農業事業「@FARM」を立ち上げ、農業分野への参入を開始している。さらに、2019年には同社が運営する自動車教習所内においてドローンスクール事業「川越三共ドローンスクール」を開校した。そして2020年からはドローン開発・製造事業を主体とした「DEARISE」(ディアライズ)ブランドがスタートした。

手厚いサポートが特徴!スクールやメンテナンス、各種申請代行、保険までワンストップ

 DEARISEブランドの特徴はドローン開発・販売だけでなく、機体の組み立て、スクールや機体メンテナンス、各種申請代行、保険までワンストップで提供できることだ。同社ブースではDEARISEブランドとして2022年に発売を予定している「ARRIS E410S 10Lタンク」と「ARRIS E610P 10Lタンク」を展示。軽トラックのように安くて、丈夫で、手軽に扱えるドローン「軽ドロ」がコンセプトとなっており、中国製の農薬散布用ドローンであるARRISのキットを同社が組み立て、カスタマイズを加えた機体となっている。

4枚ローターのARRIS E410S 10Lタンク。サイズは1075(L)×1075(W)×490(H)mm(アームとプロペラを伸ばした状態)。予定価格は77万円(税込)。ドローンスクール受講+点検・修理(購入後1年以内。最大2回まで)をパッケージにした「K-Droneスタートパック」は予定価格100万円(税込)。
アームは折り畳み可能で、軽トラで運ぶことができる。

 ARRIS E410S 10Lタンクは、4枚ロータータイプのクアッドコプター。ノズルは4つで散布幅は約4~6m。1分間で約6.6aを散布できるという。飛行時間は満載時で約10分(16000mAhバッテリー×2本の場合)。アームは折り畳み可能で、軽トラで運ぶことができる。本体は防水防塵設計のため、付着した農薬や汚れは水洗いで落とせる。タンクは大きな投入口を採用し、さらに入口はゆるやかに傾斜する形となっていて薬剤が入れやすい。

6枚ローターのARRIS E610P 10Lタンク。サイズは1992(L)×1802(W)×562(H)mm(アームとプロペラを伸ばした状態)。価格未定。
ARRIS E610P 10Lタンク機には、T-MOTOR P60 22インチを装備。

 ARRIS E610P 10Lタンクは、6枚ローターのヘキサコプター。ノズルは4つで散布幅は約4~6m。10分で1haの散布性能がある。機体はプラスチック射出成型を採用し強度を高めた。また、プラスチック射出成型としたことで部品点数が減り、メンテナンスの手間が少なくなっている。機体全体の防水性能も向上して、水洗いが可能となった。アームには安定して緩みを防止するネジ式のロックと折り畳み部品を採用し、簡単に軽トラで運べるコンパクトなサイズにできる。プロペラのモーターには、T-MOTOR P60 22インチを装備した。

両機種ともフライトコントローラーは、Ardupilot Orange Cubeを搭載。
プロポはFutaba T10J(受信機付き)。

 ARRIS E410S 10Lタンク、ARRIS E610P 10Lタンクともにフライトコントローラーは、Ardupilot Orange Cubeを搭載し、プロポはFutaba T10J(受信機付き)がセットとなっている。

写真右奥が10kgタンク容量の粒剤散布装置。
オプションのフライトコントローラー「K++」。
オプションのプロポ「SKYDROID T12 カメラ付セット」。

 両機種ともオプションとして10kgタンク容量の粒剤散布装置があり、0.5~6mmの粒状農薬、肥料、種子、餌などを散布できる。インペラ回転数(回転速度)とシャッター開度も調節可能で、粒剤が被らないように均一な散布を実現した。フライトコントローラーとプロポはそれぞれ2種類がオプションとして用意されており、フライトコントローラーはArdupilot PixHawk 2.4.8とK++、プロポはSIYI AK28 カメラ付セットとSKYDROID T12 カメラ付セットがある。また、カメラ用マウント、自動飛行、衝突防止装置もオプションで装備することができるので、用途によってさまざまな選択が可能だ。

三共木工が物流用途を視野に入れたオリジナルの固定翼機を開発中!

同社オリジナルの国産機となる固定翼ドローンを開発中だ。

 同社では日本航空大学校講師の野村 誠氏とともに固定翼機の開発を進めており、完成すれば同社オリジナルの国産機となる。自力発航型のモーターグライダーのように離陸し、滑空時にはエンジンを必要としない。さらには、高度が下がってきたらエンジンを再始動し上昇するという仕組みを利用することで、長時間のフライトを目指した機体を目標に開発が進んでいる。これは、物資運搬を想定したドローンとなり、試験飛行に取り組んでいる最中だ。
 同社では、今後もドローンをはじめとする空中利用機器を使う人・乗る人・サービスを受ける人の立場を第一に考えて製品を開発していく。