テクノスヤシマは、大規模生産者のニーズに応えた24L/16Lのハイブリッドドローンを2機種展示した。

20/24Lタンク搭載で最大30分飛行可能な大型ハイブリッドドローン「Y25-J」

ハイブリッドドローン「Y25-J」。サイズは2250(L)×960(W)×998(H)mm(アームとプロペラを伸ばした状態)で、タンク容量は20L/24Lの2種類。アームを折り畳むことによって、軽トラックで運搬できるサイズに小型化される。価格は528万円(税込)。
300ccの2サイクルエンジンを搭載。ガソリン4Lで、最大30分間の飛行が可能だ。
ガソリン投入口。燃料はハイオクガソリン+オイル(40:1)。
エンジンは冷却水(クーラント液)を循環させることで、オーバーヒートを防いでいる。

 同社ブースで注目を集めたのは、9月に発表された20/24Lタンクのハイブリッドドローン「Y25-J」。ガソリン4Lで30分の飛行を可能とし、大規模圃場を持つ生産者から要望の多かった長時間飛行を実現した。
 エンジンは発電機の動力源として使用し、飛行しながらバッテリーを充電する仕組みとなっている。エンジンをローターの動力源に用いれば、バッテリーの搭載は不要となるが、エンジンは機械的に回転数をコントロールするため、電気駆動に比べるとレスポンスが悪くなってしまう。Y25-Jはバッテリーをローターの動力源にすることで、精緻なコントロールが可能となった。さらに、Y25-Jは、新開発のセルモーターを使用しないエンジン始動方法(特許取得済み)を採用し、ワンプッシュで誰もが安全に始動および停止させることができる。万が一の燃料切れに対しても非常用として小型の内蔵バッテリー(14000mAh)を搭載しているので、安全に着陸することができる。同社の技術統括部長・若江谷氏によると「バッテリー式のドローンは、予備のバッテリーを大量に用意しなければならなく、本体よりバッテリー代のほうが高額となる場合もある。その点、ハイブリッドドローンは一見高額に見えるかもしれないが、バッテリー代をコストダウンできるうえ、バッテリー充電・交換の手間も必要ない」という。

ドローン前面に設置されたFPVカメラ。
付属するプロポ。
別売の粒剤散布装置を搭載すれば、粒剤の散布も可能だ。

 Y25-Jはローター6個のヘキサコプターで、43インチの大型プロペラを採用。また、高度維持のための最先端ミリ波レーダー、衝突回避センサー、FPVカメラを搭載しているので、安全で安定した飛行ができる。液剤タンク容量は20Lと24Lの2種類。高度3.5m、散布幅9m、ラジコンヘリ並みのダウンウォッシュ機能で、1haを約6~8分、3haなら約25分間で散布できる。液剤タンクはワンタッチで交換が可能で、複数個用意すれば効率的な防除作業ができる。アームは折り畳み式で、軽トラックでの運搬も可能だ。

16Lタンク機は小回りの利くハイブリッドドローン「Y16-J」

16Lタンク搭載のハイブリッドドローン「Y16-J」。サイズは1730(L)×560(W)×600(H)mm(アームとプロペラを伸ばした状態)。アームの折り畳みが可能で、乗用車のトランクにも納まるほどにコンパクトな設計だ。価格は418万円(税込)。
新開発のセルモーターを使用しないエンジン始動方法(特許取得済み)を採用し、ワンプッシュでエンジンをスタートできる。
非常用のバックアップバッテリー(10000mAh)。

 ハイブリッドドローンは長時間飛行を得意としていることから、大規模圃場向けと同社は考えており、北海道や東北エリアの生産者の声を参考に開発を進めてきたが、本州での需要も多かったという。そこで、飛行性能はY25-Jと同様のまま、小型化し小回りの利くハイブリッドドローンとして開発したのが「Y16-J」だ。ローター数は4個で燃料タンク容量は3.5L、最大30分間の飛行を実現した。液剤タンク容量は16Lで、1haの広さを約6~8分で散布できる。アームは折り畳み式で畳むと乗用車のトランクにも入る。

 Y25-J、Y16-JともにオプションでRTKシステムによる高精度の自動散布も可能だ。ただ、若江谷氏によるとラジコンヘリからの乗り換えユーザーの多くは熟練オペレーターが多く、自動散布よりもマニュアル散布のほうが早いという声が多いとのことだ。また、最大30分間という飛行時間についても、「飛行時間はもっとのばすこともできたが、オペレーターの声を聞くと30分作業したら休憩を取る場合が多く、操縦するオペレーターの作業効率性も考え30分間という飛行時間を設定した」とのこと。

 バッテリー式のドローンのデメリットを克服したハイブリッドドローン。ドローンでの農薬散布が今後さらに増加する起爆剤となるかもしれない。