中国で農業用ドローンやロボット開発を手掛けるXAGの日本法人であるXAG JAPANでは、最新ドローン「V40」と「P40」を参考出品した。さらには今年6月より市販が開始された世界初となる量産型無人車「R150」が展示されていた。(「R150」については、別ページにて紹介予定)

2つのローターが正確で強力なダウンウォッシュを作り出す「V40」

デュアルローターの散布ドローン「V40」。サイズは、2798(L)×828(W)×731(H)mm(アームとプロペラを伸ばした状態)。アームの折り畳みが可能でコンパクトに収納できる。
XAG自社開発のアトマイザー方式を採用した散布システム(「P40」も同様)。散布ディスクが回転することによってマイクロメートルレベルの液滴になり、作物の表面に付着。ディスクと散布システムにある各ポンプを制御することにより、微粒化された粒子のサイズとスプレー流量を簡単に調整して様々な作物に対応する。

 通常の散布ドローンと大きく異なり、ひときわ目立っていたのが「V40」だ。これは、昨年の12月に中国で発表され、注目を集めていたデュアルローターのバイコプター機であり、日本においては今回が初の実機公開となる。ローターを2つにしたことで、農薬が葉や植物に浸透するようにその下降気流を利用できるため、より正確で強力なダウンウォッシュを作り出すとしている。説明員によると、通常の散布ドローンに比べて2倍以上の効果を発揮できるという。また、ドローンのサイズを小さくすることができ、より細かなフライトが可能だ。液剤タンク容量は16L、散布幅は最大10m、噴霧量は10L/分となる。散布以外にも農地の測量・マッピングを行うことができ、1台で散布、マッピング、粒剤タンク(25L)に変更すれば施肥や直播まで行える。

3インワンのインテリジェント散布ドローン「P40」

XAGのPシリーズ農業用ドローン「P40」。サイズは2110(L)×2127(W)×555(H)mm(アームとプロペラを伸ばした状態)。
スマート液剤タンクは自動薬剤補充装置との組み合わせにより、飛行ごとに最適な薬剤の量を計測して補給することが可能。

 XAGの農業用ドローンの新しいモデルとして登場したのがPシリーズの「P40」だ。SuperX4インテリジェント制御システムを搭載することで、圃場をマッピングして圃場の境界線、植物の密度、生長状態を自動的に識別し、指定されたエリアに必要な農薬の使用量を計算するシステムXAG RealTerraと、液体散布制御システムのRevoSpray、および粒状散布制御システムのRevoCastの3つの異なるシステムを切り替えることができる、測量、マッピング、農薬散布、粒状散布の3インワンドローンである。液剤タンク容量は20L、散布幅は4~6m、噴霧量は10L/分で1時間に約13haを散布できる。

SuperX4インテリジェント制御システムを搭載。
低ノイズプロペラを採用。プロペラは折り畳むことができる。

 「V40」「P40」ともに障害物回避のための多方向レーダーを搭載し、FPVカメラもあるため、安全性も確保されている。「アトマイザー」と呼ばれる独特な散布ノズルを各ローター直下に備え、マイクロメートルレベルという微細な液滴で薬剤を噴射することが可能。またこの液滴サイズは任意に調整することができ、作物や農薬、散布環境に合わせて最適な噴霧を行える。各コンポーネントはモジュール化されており、いずれかのパーツが壊れた場合は簡単にそのパーツを交換できる。

高速で測量・マッピングが可能。
機体前面に搭載されたFPVカメラ。写真は「V40」。

 また、専用のコントローラーとスマートフォンを組み合わせ、アプリ内で生成したルートに基づいて自動航行で散布を行う(手動操作も可能)。最大5機での同時飛行機能も搭載している。バッテリーは、XAG専用発電機・冷却水槽を利用すれば最短約15分で満充電となる。

専用のコントローラーとスマートフォンを組み合わせ、基本的にはアプリ内で生成したルートに基づいて自動航行で散布を行う。
スマートバッテリー専用発電機(GC4000+)・水冷装置。ガソリンで稼働するので屋外で電源確保ができない場所でも充電が可能。水冷装置と組み合わせて使用することで、最短約15分で充電が完了する。

 「V40」「P40」ともに来年春前後の発売を予定しており、価格は未定。多彩な機能にも関わらずスマホアプリで設定できる簡単な操作性、シンプルな機体構造など、ユーザーフレンドリーな設計思想を感じられる機体だ。