第3回建設・測量生産性向上展2021では多くのドローン関連製品が出展された。なかでも新型のグリーンレーザーとハイブリッドドローンを展示したアミューズワンセルフは、ドローン関連ブースの主役と言っても過言ではない。ドローン搭載型グリーンレーザーは高価かつ不安定な精度がネックとなっていたが、同社の技術力で急速な進化を辿っている。また、長時間飛行の課題に直面するドローン開発においても、スマートな新型ハイブリッドドローンを打ち出し、測量士の新たなツールとして次世代測量へと突入していく。

デザイン性にも優れたエンジンハイブリッドドローン

 レーザー測量業務を中心に独自のレーザースキャナーやエンジンハイブリッドドローンなどを開発、販売しているアミューズワンセルフは、従来のレーザースキャナー「TDOT」の改良新型である「TDOT3 GREEN」と、新たに開発したエンジンハイブリットドローン「GLOW.H」、バッテリードローンの「GLOW.L」を出展していた。

 TDOT3 GREENは、パルスレート6万Hz/秒、視野角90度というレーザースキャナー部が従来のTDOT GREENと同等ながら、IMUを刷新することで測定精度や分解能を向上。さらに外観上のアイコンとなっている冷却ファンを装備することで、安定性が高められている。重量は2.7KgとグリーンレーザーLiDARとしては非常に軽く、DJIのMatrice300 RTKに搭載することも可能だ。

 さらにTDOT3シリーズはスキャンデータを機体側でHDMIに出力することで、リアルタイムに表示することができるほか、専用スマートフォンアプリ「TDOT STATUS」を利用することで、飛行中のTDOT3の状況をリアルタイムに確認することができる。

アミューズワンセルフの新型LiDAR「TDOT3 GREEN」。左側の目玉のようなものが冷却ファンとなっている。

 アミューズワンセルフのブースでひときわ目を引いていたのが、エンジンハイブリッドドローン「GLOW.H」だ。同社は早くからエクステンダーとしてのエンジンを搭載したハイブリッドドローンを開発し、実際に運用を行っており、同製品はそのノウハウを結集させたモデルだ。ローター間900mmのクワッドコプターで、小川精機製2ストローク30ccエンジンを搭載。リチウムイオンバッテリーと組み合わせることで、TDOT3 GREEN搭載時は2時間、ペイロード無しの状態では6時間以上の飛行ができる。

 「GLOW.Hはエンジンでバッテリーを充電しながら飛行するため、エンジン、バッテリーのどちらかが壊れても飛行できる冗長性がある。また、一般的なバッテリー式のドローンを離島に持ち込んで運用する場合、バッテリーを船便で輸送する必要があるが、エンジンであれば現地で給油ができれば飛行できるというメリットがある」(説明員)といい、さらに「一般的なエンジンハイブリッドドローンでは、70~100ccのエンジンを毎分1万回転で回して飛行するが、GLOW.Hは大きなプロペラを使い毎分5000回転で運転するため音が静かなほか、エンジンのメンテナンスサイクルも100時間と長くできる」(説明員)としている。

エンジンハイブリッドドローン「GLOW.H」。機体のカウリングに見える白い部分はポリエチレン製の燃料タンクと優れたデザイン性も備えている。

 アミューズワンセルフがもう1機展示していたドローンは、リチウムイオンバッテリー2本を搭載するローター間1450mmのヘキサコプターだ。同機はエネルギー効率を追求し、5kgのペイロード搭載時は29.5分、TDOT3 GREEN搭載時は33分(いずれもバッテリー30%残)と、長時間の飛行が可能となっている。また、6つのアームを折り畳むと約35cm四方、高さ850mmの立方体に収まるなど、可搬性にも優れているのが特徴だ。

 「これまでこうしたペイロードを搭載するとなるとDJIのMatrice600シリーズが定番だったが、今やその生産が終わり、さらに昨今の国産ドローン志向を受けて、それに代わる同サイズの機体として開発した。バッテリーは古河電池(旧マクセル)製のインテリジェントバッテリーを採用し、使い勝手がいいだけでなく、長時間の飛行を実現している」(説明員)と話した。

リチウムイオンバッテリー式ドローン「GLOW.L」。折りたたみ時にはとてもスマートな佇まいとなる。