2019年4月25日、パスコは、陸上と水底を同時に3次元計測できるドローン搭載型のグリーンレーザースキャナの販売権を2019年3月に取得したことを発表した。2019年度からは、グリーンレーザースキャナの販売、操縦・計測作業の支援、データマネジメント用ソフトウェアの提供、3次元データの加工・解析サービスなどをトータルに支援する測量サービス事業を本格的に開始する、としている。
河川・港湾・海岸管理のほか土木工事の生産性向上などにおいて、陸域と水域を統合した高精度な3次元データの定期的な取得が課題になっている。従来は、陸域と水域をそれぞれ異なる手法を使って計測作業をおこない、河川周辺地形と河床や設備、護岸と海底や港湾設備など、別々の計測成果を統合し、3次元データの作成を行っていたため、時間と手間を要していた。これらの計測・測量作業を効率的に行い、精度の高い面的な3次元データを取得可能なシステムがグリーンレーザースキャナである。ドローン搭載型は、航空機搭載型のグリーンレーザースキャナと比較し、高密度な点群の取得ができることから、詳細な3次元モデルを作成することが可能である。
グリーンレーザースキャナ「TDOT GREEN」について
2017年度に開始した国土交通省水管理・国土保全局河川環境課河川保全企画室が実施した「革新的河川管理プロジェクト」の研究開発において、2019年2月に実用化を達成した国内初の地上と水底を面的に計測可能なドローン搭載型のレーザースキャナである。
【特徴】 ・積載可能従量3kg以上のドローンに搭載可能
・上空から地上・水底の3次元形状を面的に測量(計測)
【開発元】 アミューズワンセルフ
(URL:http://amuse-oneself.com/)
主な活用分野
<河川管理>
昨今の気候変動に伴い、短時間の強雨や大雨の発生頻度が増加傾向にある。河川管理では、降雨により発生する出水を安全に流下させるため、河道の地形情報や点検結果から、洪水や決壊の危険性がある堤防位置を漏れなく把握し、適切な対策や変状監視をすることが求められている。また、海岸や港湾の管理でも同様の課題が存在する。
<i-Construction>
2016年度からスタートした「i-Construction」は、年々適用する工種が拡大され、現在では、河川の浚渫工や港湾の浚渫工といった水域工事にまで広がっている。これらの水域工事の省力化やICT施工の適用を図るために、設備を含む地上地形と水底地形をシームレスな3次元データとして整備することが求められる。
パスコは、これらの課題解決のために、グリーンレーザースキャナの地上・水底の3次元計測能力を活用して、河川管理業務や、土木・港湾工事などで本格化しているi-Constructionでの効率化・高精度化を推進する。また、自然災害発生時の現状把握や国土強靭化につながるインフラの維持管理など、多方面での活用も推進している。
トータルサービスの概要
(1) グリーンレーザースキャナの販売
(2) ドローンパイロットの育成支援、計測作業支援
(3) 各種ソフトウェア提供
(4) 3次元データマネジメント(3次元レーザー点群データの加工・解析支援)
(5) 3次元データ活用コンサルティング
同サービスのほか、航空機搭載型のグリーンレーザースキャナ、地上レーザースキャナ、車両搭載型のレーザースキャナ、船舶に搭載するナローマルチソナーなどの計測手法と融合してシームレスな3次元データの計測から活用までを支援する。