第三者上空の目視外飛行の実現が2022年度に迫るなか、ドローンによる物流配送の実証実験も活発化している。社会実装に取り組む多くの企業は5kg前後のペイロードを備えた中型ドローンを起用し、拠点間や物流事業者と個人宅を結ぶ新たな手段として可能性を探っている状態だ。一方で、物流配送には"運搬"の需要が一定数あり、工事現場での大型資材の運搬や災害時の物資運搬などが挙げられる。これらの役割を果たすべく、SkyDriveはカーゴドローンの開発を手掛けている。

空飛ぶクルマの安全性をドローンによる重量物運搬にも

 エアモビリティの開発で知られているSkyDriveのブースでは、今年中にリリース予定のホイスト付き物流ドローン「SkyLift」が注目を集めていた。全長1.2m、全幅1.8m、全高1.0m、機体重量35kgという大型のオクトコプターで、30kgという非常に大きなペイロードを生かして、山間部での物資輸送や建設現場での資材運搬、災害時の緊急物資といった用途での利用が想定されている。

 同機は人が乗るエアモビリティ開発で培った安全に対する設計や技術が生かされており、「プロペラひとつが止まったり、バッテリーひとつがショートしても飛び続けられる “ワンフェール対応” は空飛ぶクルマと同じ思想で開発している」(説明員)といい、スペック上の最大ペイロードは30kgとなっているが、これもフェールセーフとして制限をしたもので、性能上のペイロードは50kgにも上るという。

 これまでにカーゴドローンとして建設資材の運搬や農作物の輸送といった実証実験を繰り返してきた同機は、すでに電力業界や建設業界から引き合いがあり、「重い資材を持った人が階段を上るといった作業をドローンで代替したいという問い合わせが多い」(説明員)という。同機は今夏以降、サブスクリプションといった形での提供を視野に、リリースの準備が進められている。

 また、同社に対してはさらに大きなペイロードに対するニーズも高い一方で、「測量用LiDARがドローンに搭載できるよう小型化してきたように、建設土木の資材をはじめとしたソリューションも、ドローンに搭載できるように小型化、軽量化していただければ、よりドローンが活躍する現場が増えていく」と説明員は話していた。

ホイスト付き物流ドローン「SkyLift」。ホイスト使用時は最大25kgの荷物を吊り下げ可能。最大ペイロード搭載時は1回あたり片道1kmのルートを往復できる。