対空標識のラインナップを展示したカクマルの出展ブース。

 写真測量やレーザー測量に欠かせないのが標定点だ。従来の測量方法と同様にドローン測量でも、測量範囲に多数の対空標識を標定点として設置する必要がある。豊富な測量用材を販売するカクマルでは、ドローンに適した対空標識を取り扱っており、ニーズが増加しているという。ドローン用対空標識の違いとは。

ドローンが普及しても利用者が多い標定点の課題

 測量分野では仕事効率の改善が進んでいる。ICTが効率化を後押しし、ドローンもそのひとつとして大きく貢献している。近年では標定点レスを売りにしたRTKやPPK測位方式などが注目されているが、従来の方法で測量してきた人のなかには標定点に信頼を置く人も多いのではないだろうか。ドローンの登場で測量時間は大幅に短縮化され、人が立ち入りにくい場所のデータ取得も手軽になったわけだが、標定点の設置作業には苦労が絶えない。一連の測量業務の中でも標定点の設置・回収作業に必要な時間と労力の割合は大きいといえる。

一般的なビニール製の対空標識「フォトクラ」。価格は20枚入りで3万7400円(税込)。

 対空標識の柄や色のパターンは国土交通省がいくつか推奨しており、コントラストの強い白と黒や黄色と黒の色があしらわれ、左右対称の柄を描いたものが一般的だ。また、ビニールシートのような素材で四隅にペグを打って固定するものが多く普及している。

 国土交通省で推奨されているため、色や柄で差別化は図れないが、カクマルは対空標識の素材を使い分け、ラインナップを拡充している。ドローン用に開発した「マジックフォトクラ」は前述した標定点の設置・回収作業の削減ニーズを狙ったもので、紙素材を採用した。

水に溶ける紙素材を採用したドローン用対空標識「マジックフォトクラ」。サイズは380mm×380mm。
水を張ったトレーにマジックフォトクラを入れると数秒後にはすっかり溶けてしまった。

 マジックフォトクラに使われている特殊な紙素材は水で溶かすことができ、自然環境にも考慮されている。これを用いることで標定点は雨で溶け、回収作業が不要となり、測量後の時間と労力を大幅に削減できるのだ。ただし、作業中に雨が降ると設置した対空標識は無くなってしまうため、夕立など天候には気を付けなければならない。マジックフォトクラは利便性に長けているだけでなく、20枚入りで9680円(税込)とコストパフォーマンスも高い。なお、ビニール製の対空標識は20枚入りで3万5000円前後で販売しており、使用頻度も考慮して検討したい。

 そのほか、カクマルではレーザーが反射しやすい素材を採用したレーザー測量向けの対空標識や、それぞれ異なる柄のパターンを数枚でセットにし、1枚1枚に番号を割り当てたフォトスキャン用対空標識などをラインナップしている。