第3回建設・測量生産性向上展2021では例年に増してドローン、レーザースキャナー、グリーンレーザーの出展が目立っていた。同様に最先端のICT機器として注目されていたのが3Dスキャナーだ。周辺デバイスの進化もあってか、近年はギュッとダウンサイジングしたモデルが増え、2020年頃から手で持てるハンドヘルド3Dスキャナーも多くリリースされている。小型化によって利便性が良くなったのに加え、10万円前後から100万円以上と幅広い価格帯でラインナップが広がったことも魅力のひとつだ。

 可搬性に優れているため3Dスキャナーを屋内施設の点検管理で活用するケースが増えている。また、重量や形状によってはドローンにも搭載できるため、狭い範囲でレーザースキャナーの代替えとして用いられる。そして、取得した点群データや写真をもとに、レーザースキャナーのような三次元モデルを生成することが可能だ。

DPI-10SGシリーズでタブレットが3Dモデルのスキャン&ビュワーに

DPI-10SGを10インチタブレット(SurfaceGO)に装着し、3Dスキャナーとタブレットが一体化。
背面にはスキャン用のセンサー、カラーイメージ用のカメラを備える。他社のハンドヘルド3Dスキャナーと比較しても、コンパクトで現場に適した形状だ。

 ミルトスが販売代理店を担うDotProductのタブレットベース3Dハンディスキャナー「DPI-10SGシリーズ」は、タブレット端末を3Dスキャナーに変えてしまう優れものだ。計測距離が異なる2機種をラインナップし、距離60cm~3.5mの広範囲はDPI-10SGが適しており、距離30cm~2mの中範囲用にDPI-10SG SRが用意されている。当製品の背面には赤外線ストラクチャーライト&RGB深度センサーのスキャナーとカラーイメージ用のカメラを備え、対応した10インチのタブレット端末(SurfaceGO、GalaxyS6)を装着するだけで3Dモデルを生成できる。これにより、現場の細かなチェックや寸法測定、データ検証を瞬時に確認できるのだ。加えて、屋外向けのRealsenseD415センサーカメラや室内向けLiDERセンサーであるRealsenseL515、屋内外の広範囲スキャンを実現するRealsenseD455など、充実したオプション品であらゆる現場に対応する。

 スキャンや編集作業はDotProductが開発したアプリケーション「Dot3D」で行う。Dot3Dはタブレット端末だけでなくPCやスマートフォンにも対応し、その場で寸法計測(2点間・水平垂直)や面積・体積の測定、指定面からの一括寸法・体積測定などに役立てられ、高解像度のカラーイメージカメラによって細部の目視点検も可能になる。

スマートフォンにIntel製のRealsenseL515を装着すれば、室内向けの3Dスキャナーとして活用できる。
RealsenseL515でスキャンしたデータをもとに、30秒ほどで3Dモデルを生成。タブレット同様に測定機能なども使用できる。

 DPI-10SGシリーズの特長は、手元のデバイスを3Dスキャナーに変えてしまう点だが、これはタブレット端末だけではない。なんとスマートフォンまでもが3Dスキャナーへと変わってしまう。前述したオプション品のセンサーを取り付け、Dot3Dをインストールすることで、手持ちのWindowsとAndroidスマートフォンが3Dスキャナーとして使えるようになる。もちろんDot3Dで3Dモデルのビュワーとしても機能する。

 アメリカではドローンとDPI-10SGシリーズを活用し、ヘリコプターの墜落事故を調査した事例がある。墜落地の広域マップをドローンのレーザー測量で生成し、事故の証拠となる細かな破片の位置をDPI-10SGシリーズで特定した。(※引用:dronelife https://dronelife.com/2020/10/12/crash-site-investigation-with-drones/

 DPI-10SGシリーズはタブレット端末とDot3Dのアプリケーション(ライセンス形態)のセットで約115万円から提供しているという。