2024年9月21日に静岡県伊東市吉田に大規模樹木葬霊園「はなうたガーデン-伊東-」(以下、はなうたガーデン)が開園する。会見では、契約者に対するサービス(1回1,100円/契約者無料)の1つとして、参拝者をドローンで案内するシステムを国内で初めて採用することが発表された。
はなうたガーデンは、公益財団法人「千の花々メモリアルガーデン」(赤坂信代表理事)が運営する霊園だ。広さは4万8500平方メートルと東京ドームの面積に匹敵し約1万区画の販売が予定されている。すべての区画において、故人の遺骨は紙製の骨壺に入れて納骨され、土に還っていく樹木葬の形式となっている。
千の花々メモリアルガーデンの鈴木喜美男氏は、同霊園のコンセプトについて「時代の変化に伴い、死生観の厳選、自分らしい場所で眠りたい、自然に帰りたい、縁戚ではない人と共に眠りたい、ペットと共に眠りたい、このような人本来の願望を実現します。また、少子高齢化や生涯独身者の増加によってお墓を引き継ぐ人がいない、家族や親族に迷惑をかけたくない、そのような背景に我々の思いを加え、設立に至りました」と説明した。
広大な霊園に対する参拝者の悩みをドローンで払拭
同霊園は富士箱根伊豆国立公園内にあり、自然環境保持のため区画の明確な区切りはなく、墓石や墓標なども設置されていないのが特徴だ。そのため、参拝者からは埋葬した場所がわかりにくいところもある。そこで千の花々メモリアルガーデンから、ドローン事業を手がけるブルーイノベーションにドローンを使った参拝客の誘導ができないかという相談があり、ブルーイノベーションが協力して参拝者誘導システムが導入された。
このサービスでは、あらかじめ墓地内の埋葬場所の位置情報を故人別にデータ管理する。前日までに霊園側に参拝を予約すると、当日受け付け後に同霊園の休憩所に設置されたDOCK(ドローンポート)からドローンが飛び立って参拝者を誘導し、故人が眠っている場所まで案内してくれるというものだ。
ドローンは納骨された場所の高さ1.5メートルでホバリングを行い、その場で1周旋回することで参拝者に場所を知らせる。ドローンは参拝者が到着したことを確認したうえで、自動的にDOCKに帰還する。悪天候などでドローンが飛べない場合は、霊園スタッフが位置情報から参拝者を誘導する。ドローンはDJI社製のMavic 3シリーズを使用。霊園という静寂が重要視される空間を考慮して、比較的騒音が小さい同シリーズが採用された。
また、同霊園は午後5時に閉園するが、その20分前からドローンが園内を巡回してスピーカーで参拝者に閉園を知らせるアナウンスも実施する予定だ。
はなうたガーデンのコンセプトと調和したドローンの活用
開業前の9月10日、都内のホテルで同霊園を説明する記者発表会が行われた。発表会では俳優でタレントの梅沢富美男さん(73)と、同じくタレントの島崎和歌子さん(51)がお墓や終活などをテーマにしたトークショーを行い、梅沢さんは墓参りの際、墓の場所が一時わからなくなったというエピソードを披露。「ドローンが場所を教えてくれるなら、間違うことはない。これは便利」とドローンを使ったサービスについての感想を述べた。また、島崎さんは、「従来の霊園のイメージを払拭していて非常に明るい気持ちで参拝ができる。礼服ではなく、平服で参拝できるという伝統や習慣に捉われないスタイルが魅力」と同霊園のコンセプトを称賛した。
千の花々メモリアルガーデンの担当者は「樹木葬の霊園としてできる限り、自然のままということで墓石を設けていません。一方で可能な限り参拝者の利便性を図りたいこともあり、ドローンで誘導するサービスを思い立ちました」と話した。また、ブルーイノベーションの担当者は「霊園での参拝者誘導は国内では初となる新しいドローンの使い方です」と語った。