写真:飛行するDJI Neo

 産業用ドローンを主戦場と変えたドローンメーカー最大手のDJIより、ひさびさとなるコンシューマー向けドローンの新シリーズ「DJI Neo」が発表となった。

 DJI Neoはハイアングルなセルフィー(自撮り)を楽しんだり、屋内でのフライトを楽しんだりできる135gの超小型空撮ドローンだ。プロペラ音をキャンセリングした録画時の音声収録もできるので、VLOG制作などにも活用できる。しかし、軽量コンパクトなボディデザインであるだけではなく、DJIならではの本格的な撮影機能や、さまざまな操作方法に対応した1機で4機分楽しめる仕様となっているのが特徴だ。

軽量コンパクトなボディデザイン

 見た目はFPV機のAvata 2を小さくしたようなボディ一体型ダクト型プロペラガードを備えたデザインとなっているが、加えて、ダクトの上下にメッシュ型のプロペラガードも装着されているので、135gの軽量な機体と相まって高い安全性を確保している。

写真:DJI Neoの外観
Avata 2に似たデザインだが全く違うコンセプトの機体

 筆者も機体をお預かりして、いろいろな飛行をしながら何度も墜落(屋内の低空)させることもあったが、プロペラや家具等の破損は一切なかった。カメラ部分もAvata 2のように、カメラを囲うようにボディカウルがデザインされているため、レンズ周りも現状はまったく破損していない。とても優れたデザインだ。

写真:機体を上から見た様子
カメラ周辺が囲まれるようにデザインされているのでレンズが傷つきにくいのがありがたい

本格的な撮影機能

 DJIと言えば空撮用ドローンの分野において、右に出るものはいないのは自他ともに認めるところだろう。その技術は、超小型ドローンのDJI Neoにおいても妥協はなく、機体重量135gとは思えない空撮機能を持つ。

 4K30fpsの撮影はもちろんのこと、このサイズで1軸メカニカルジンバルを備える。アクションカメラの「Action」シリーズやDJI FPV / Avata 2などで培った電子手ブレ補正も備え、1軸でも驚くほど安定した映像を撮影することができる。

写真:飛行するDJI Neo
ジンバルまわりはシンプルなデザインだがちゃんとブレを補正して滑らかな撮影ができる

 また、AIトラッキングを活用したクイックショットも魅力的だ。自動追尾する「フォロー」や定番の遠ざかっていく「ドローニー」、被写体のまわりをノーズインサークルする「サークル」、直上に上昇しながら真俯瞰撮影を行う「ロケット」など、さまざまな自動飛行撮影をワンタッチで楽しむことができる。

写真:手のひらにDJI Neoを載せて、機体前面上部にあるボタンを押す様子
ボタンひとつで自動飛行撮影できるのもDJI Neoの魅力のひとつ

さまざまな操作方法

 DJI Neo独自の特徴のひとつは、このさまざまな操作方法でフライトできるところだろう。Fly Moreコンボに同梱されるDJI RC-N3やオプションのモニター一体型送信機DJI RC 2を利用すれば、一般的な空撮用ドローンのように水平が安定した美しい映像を撮影することができる。

写真:RC-N3による操縦で飛行するDJI Neo
RC-N3送信機で操縦すれば空撮機として楽しむことができる。入門機としても最適だ
写真:RC-N3の外観
マイナーチェンジされたDJI RC-N3送信機

 一方、Avata 2でも利用するDJI Goggles 3とDJI RC Motion 3やDJI FPV送信機を利用すれば、水平がロールした迫力のFPV映像を撮影することもできる。Mモード(フルマニュアル)による操縦も可能とのことで、屋内でMモード飛行の練習に軽くて安全なDJI Neoはぴったりだ。

写真:DJI Goggles 3、RC Motion 3とDJI Neo
DJI Goggles 3 に接続すればDJI Neoが小型FPVドローンに変わる
写真:RC Motion 3を握る様子
DJI RC Motion 3にも対応しているので直感的に操縦したいときはこれがベスト

 さらには、スマートフォンに接続して飛行することもできる。RC-N3などの送信機がなくても、飛行アプリDJI Flyで機体とスマートフォンをWi-Fi接続すれば、すべてのクイックショットと、アプリ内のバーチャルスティックによる手動操縦が可能だ。

写真:クイックショットの設定画面、バーチャルスティック
アプリにWi-Fi接続すればクイックショットの細かい設定が調整できる

 そして、屋内においては、スマートフォンすら接続せずに機体本体にあるクイックショットのボタンを押すだけで任意の自動飛行撮影を実行できる(屋外では航空法違反になる場合があるので注意。後述)。飛行の際の距離や高さなどの設定はスマートフォンに接続しないと調整できないが、ちょっとしたセルフィーなどは機体だけでも撮影には充分だ。

写真:機体上部の外観。前方にボタンを備えている。
クイックショットは機体前方上部にあるボタンだけでできてしまう
写真:クイックショットを実施する様子。手のひらを上に片手を正面に伸ばす人と、飛行するドローン。
クイックショットで撮影していると単純に楽しくなる
クイックショット:ドローニー
クイックショット:フォロー

※特定飛行(機体が視界から消える自動飛行は特定飛行のうち「目視外飛行」に該当)において自動飛行を実行する場合には、送信機やスマートフォンと接続しないまま飛行させた場合、航空法違反になるため注意すること(航空法では、特定飛行時、緊急時などに操作介入ができるように、ドローンは送信機やスマートフォンと接続されている必要がある)。

 ひさびさに、DJIからリリースされた遊べるドローンがDJI Neoだ。これまでも、コンシューマー向けの手軽に空撮できるドローンはないわけではなかったが、どうしてもプロペラが怖かったり、重量が気になったりしていた。そういった点で、撮影のクオリティに加えて撮影バリエーション、安全性、そしてコストパフォーマンス、全てにおいて満足がいくコンシューマードローンが誕生したと言えるだろう。