写真:プロドローンの展示ブース。
PRODRONEブースでは、従来の事後保全から予防的な状態監視保全を実現することを目的のひとつとした次世代 “水空合体ドローン” のプロトタイプが展示されていた。

水上での取り扱いが改善された水空合体ドローン

 水空合体ドローンとは、水中ドローンを搭載した空飛ぶドローンであり、それらをコントロールするシステムのパッケージのことだ。人が乗船して水中ドローンを目標位置まで持っていかなくても、飛行用ドローンが潜水ポイントまで飛行・着水し、水中ドローンを潜航させて測量や撮影をすることができる。

写真:機体の外観。飛行ドローンと水中ドローンからなる。
機体全体像。飛行用ドローンはPRODRONEのBD6シリーズがベース。

 PRODRONEでは、以前よりこの水空合体ドローンの開発を進めていたが、今回展示された新型では飛行用ドローンのフロートを大型化し、機体後部にスクリューをつけることで水上移動や定位置を保つことができる。旧型では外輪船のような形をしていたフロート部だが、新型ではより船舶に近い形になっている。

写真:飛行ドローンの側面の様子。機体下部に2つのフロートがあり、その後部下側にスクリューを備える。
機体側面後部から。フロート後部にスクリューが見える。
写真:フロートに備えたスクリュー。
スクリュー部のアップ。
写真:機体側面の様子。上部はプロペラ、下部にはフロートを備える。
機体側面から。フロート部は大型化され、デザインはより船舶に近くなった。

 また、水中ドローンも旧型では市販のものを搭載していたが、新型機では PRODRONEが独自に開発したものを搭載した。100mの通信用テザーケーブルを用いているほか、超音波による音響測位装置により、衛星利用測位システム(GPS)が使えない水の中でも水中ドローンの位置情報を取得することができる。水中ドローンを自社開発することで、これまで以上に柔軟なカスタマイズも可能になったとのことだ。

写真:メッシュのガードの中に収納された水中ドローン。
自社開発された水中ドローン。機体はガードで覆われている。
写真:正面から見たガードと水中ドローン。
機体前方から。自社開発したことで水中ドローンもカスタマイズ要望に対応できるようになった。
写真:巻き取られたワイヤー部分。
飛行用ドローン後部に見えるワイヤーは100mあり水中ドローンの操作と映像伝送に使われる。

アクセスの難しい水辺の橋脚点検を効率的に実施

 実証実験は既に実施されており、橋脚の点検業務として水中の写真撮影に成功している。これまで手間とコストの壁に阻まれ、充分に実施されてこなかった公共構造物の点検を水空合体ドローンの技術によって容易かつ効率化し、従来の事後保全から予防保全へと舵を切ることで災害時の被害を最小化する将来像を目指す。

写真:モニターに映る、水空合体ドローンが水面に浮かぶ様子。

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