警察や消防、自治体に向けた特殊用途に特化した実装サービス

官公庁や自治体向けに納品しているJDRONEオリジナルの国産ドローン「JH11」。

 企業向けに運用サービスを提供する一方で、同社は“特殊エリア”を主軸としたサービスを展開していくという。これは警備監視、防災、災害対応といった特殊用途を主としたもので、⻑時間かつ広範囲を得意とする固定翼機やシングルローターヘリの強みを活かした運用サービスとなる。さらに、サービスの提供は公安関係や官公庁、自治体などの特殊な機関を対象としたものだ。

⻑時間飛行を得意とするペンギンCやシングルローターヘリは、広範囲の測定業務に役立てられる。シングルローターヘリは大型の測定機器を搭載可能で、回転翼機に比べ緻密な測定を可能とする。また、特殊な運用スキルを必要とする自動航行機能付きのシングルローターヘリを所有できる企業は非常に少ない。

 同社は以前から公安関係者や官公庁向けにドローンの講習訓練を実施してきた経緯があり、さまざまな要望を汲み取りながら独自のカリキュラムを考案し、人命救助や捜索などの特殊用途において、より効率的に運用するための訓練方法などを構築してきた。担当者は「例えば有事の際にすぐさまドローンを飛ばしたいとなった時に、ドローン企業を要請していては大幅なロスが発生してしまう。そのため、自治体や官公庁が自ら運用する必要がある。しかし、訓練方法や体制構築に対する課題があり、当社はそれらを払拭し、ドローンの使い方を提案しながら特殊エリアにおける実装をサポートしていく。また、プロパイロットであっても、周囲環境を把握せずにドローンを運用するのは難しい。地域の河川や山林などに一番詳しい現地の自治体が、訓練メニューとして状況把握を行い、有事の際には自治体自ら運用できる体制を構築することで、最も必要とされている特殊エリアでの効率的な活用を支援していく」という。

自動航行の組み立てと事前準備が難しい固定翼機の運用

株式会社JDRONE南相馬サービスグループUAVレプゼンタティブ 伊村光生氏

 伊村氏はJDRONEのなかでも回転翼機、固定翼機、シングルローターヘリのライセンスを所有するトップクラスのプロパイロットだ。回転翼機と固定翼機では、求められるスキルが異なると話し、「回転翼機は飛行しているものに移動の指示を出して操縦を行うが、固定翼機は事前のプログラミングで飛行させなければならない。さらには、A地点からB地点に移動、この角度で進入といった細かな命令をプログラミングで指示しなければならず、しっかりと訓練を受けた人でなければ扱えない。しかし、正確に扱うことができれば、広範囲で同じエリアを⻑時間にわたって巡回させたり、有事の際には救援用道路の確保や広範囲の被害状況の把握など、回転翼機では補えない部分をカバーできる」と解説した。