日本人ArduPilot開発者の活躍にも期待

 最後に、ランディ氏は「ソフトウェアのみならず、ハードウェアも進化している」として、オートパイロット開発を手がけるアメリカの企業、mRoboticsADIS16470も紹介してくれた。

mRoboticsの高性能IMU「ADIS16470」

 通常は、GPSが届かなくなると自己位置推定ができず、10秒ほどでホバリングができなくなり機体は風に流されていくが、高性能IMUであればGPSが切れても分単位でホバリングし続けられる可能性があるそうで、これは開発中とのこと。また、温度変化にとても強く、例えば極寒エリアや火事の上空においても、センサーデータに異常をきたすことなく飛行できる。一般的なオートパイロットと接続し、エクスターナルIMUとしての活用用途もあるという。

 また、念願の「歩行ロボット」も、Google Summer of Code(略称GSoC)を活用しながら、この夏にはArduPilotでサポートしたいと意欲的だ。ArduPilotコミュニティのブログによると、すでにArduPilotでサポートしているローバーのコードベースにモジュールを追加することで、四足歩行ロボットのサポートの実現が見込めるという。

四足歩行ロボットの見本(ArduPilotコミュニティのブログより引用)

 GSoCへの日本人大学生の参加は、応募から開発がちょうど日本の大学の入学〜前期にあたる影響か、未だかつてないとのことだが、日本人のArduPilot開発者は着々と増えている。ランディ氏が塾長をつとめるドローンエンジニア養成塾(*)は現在9期開講中で、社会人の「学び直し」や、ドローン・エアモビリティ事業を手がける企業の社外研修として受講ニーズが高まっており、同塾の卒業生はArduPilot開発者として転職・独立起業したり、ArduPilot講師としても活躍しており、ボートや潜水艦などの開発案件も増えているそうだ。

JapanDrones(株)とドローン・ジャパン(株)が協働事業として運営しているドローンエンジニア人財育成事業

ドローンエンジニア養成塾でオンライン講義中のランディ氏

 ランディ氏は、「毎週開かれる、ArduPilot開発者のオンライン定例会議にも、英語だけど日本人が毎回少なくとも1人は必ず参加するようになりました。ArduPilotコミュニティに参加して、面白い開発を一緒にやっていきましょう」と、日本人エンジニアに呼びかけている。