有人航空機との衝突回避「6つの取組」を強化
しかし、「いま、航空法をクリアすればよいのかという問題に、直面している」(松浦氏)という。テラ・ラボが開発する長距離無人航空機は、高度150m以上での飛行が想定されるためだ。
松浦氏は、「レベル3や4の目視外飛行となるため、これまでに携帯電話網や衛星通信網による制御の開発を進めてきたが、有人航空機の飛行空域についての十分な理解と、安全に対する倫理観も必要。今後は有人航空機との衝突を回避するための取り組みを強化したい」と話した。具体的には、下記6つの項目が挙げられた。
(E)IFR飛行、VFR飛行対策
無人航空機が飛行する低高度の飛行空域では、報道ヘリやドクターヘリなどは有視界飛行方式を採用している。そのため、計器に反応させる対策はもちろん、翼の端にオレンジ色を塗装したり閃光ライトを搭載し、有人航空機の無人航空機飛行に対する視認性の向上を図る。
無人航空機による航空測量の「パイオニア」に
DRONE FUND 大前氏は、今回、DRONE FUND(千葉道場ドローン部投資事業有限責任組合)2号からテラ・ラボへの出資に至った経緯として、テラ・ラボの強みを紹介した。
大前氏は、「長距離固定翼ドローンにおいてテラ・ラボは、国内有数のプロダクトと技術力の高い開発チームを有している。航空局とのリレーション構築、愛知県や名古屋市、福島県などの地方自治体との連携にも積極的で、日本社会における1,000mクラスの高度での固定翼機実運用実績も豊富である」と、出資における着眼点を説明。
特に、災害対策システムの利活用については、「多くの拠点で非常に深く話し合われており素晴らしい」と評した。必要敷地面積などの点で難しいとされる固定翼機の開発で、福島ロボットテストフィールドを上手く活用できている点もポイントだ。
今後の狙いについては、「災害対応のみならず、平時の航空測量における無人航空機のビジネスを検討して行きたい」と言及。テラ・ラボが、災害対応システムに限らず、独自技術を用いた新しいビジネスモデルを開発できるフェーズに入ったことは、今回の出資および大前氏の社外取締役就任における、非常に大きなポイントだという。
「これまで、航空測量分野においては有人機が主流で、無人航空機の活用はまだゼロだと捉えている。ドローン測量は150mまでの範囲で度々行われているが、さらに高高度な空域から、より広域をターゲットとして考えて行きたい。」(大前氏)
ちなみに、「DRONE FUNDの投資ポートフォリオの中で、テラ・ラボと同様の位置付けの投資先はない。全く新しいタイプの企業」だと大前氏は断言。現段階では、テラ・ラボの長距離固定翼ドローンによる新しい事業の構想に集中しているが、今後はDRONE FUNDの既存投資先との協業なども十分に考えられるとのことで、新たなニュースがいまから楽しみである。