ロジクトロンと城北ドローンオフィスは、2025年2月25日、板橋区立板橋第二小学校校庭と近隣ビル(高さ42m)屋上間において、大型ドローンを活用した物資運搬の実証実験を実施した。
高層ビル等のエレベーターが稼働できない状況で支援物資を屋上へ垂直運搬する状況を想定したもので、住居・オフィス等の高層物件が多数ある板橋区において、小学校等のグラウンドを起点に近隣の物件を支援する手法の確立を目指す。
また、実証実験を行う板橋第二小学校では、ドローンの飛行がGNSS(GPS)などの位置情報の仕組みや、無線通信といった技術が活用されていることを児童に紹介。これにより、ドローンが動くためには見えない技術が多く使われていることへの興味を深めてもらうとともに、地域の災害時の支援や新しい物流の仕組みについて学ぶ機会となった。
今回の実証実験は、「小学生たちにドローン運搬技術を学んでもらうこと」「発災時における高層ビル・マンション屋上への物資運搬の実現」を目的に実施した。
児童への野外レクリエーション
城北ドローンオフィス代表の宮本氏による野外レクリエーションを行い、ドローン技術を通じてICTや災害支援への関心を高める機会を提供。ドローンの動作がGNSS(GPS)や通信技術と密接に関連していることを説明し、児童たちにその仕組みを分かりやすく紹介した。
発災時における高層ビル・マンション屋上への物資運搬
災害発生時に停電などでエレベーターが使用できない高層住宅の屋上へ、生活必需品や水などの支援物資を運搬する手法や、道路寸断時に孤立した地域へのドローンを活用した物資輸送の可能性を検証。自治体による非常時の物資供給体制の強化・効率化を図る。
都会では大型ドローンが離着陸できるスペースが限られているが、小学校をはじめとした学校施設のグラウンドを起点とすることで近隣ビル屋上へ迅速に荷物を運搬し、地域の住民への支援を円滑に行うことができる。
実証実験の詳細・結果
実証実験では、2種類のドローンを使用して異なる物資を輸送した。
- ペイロード25kgの中型機による飛行
近隣ビルの屋上から離陸し、小学校のグラウンドにいる約200人の児童へポテトチップスを届けた。 - ペイロード55kgの大型機による飛行
小学校のグラウンドから約35kgの支援物資をビルの屋上(高度差35m)へピストン輸送。2回連続の運搬を実施し、合計70kgの荷物を約7分で屋上に運んだ。今回はバッテリーを交換せずに2フライトを実施。バッテリー交換の時間や高層マンション等の高さを加味しても、1時間あたり300~400kg程度の運搬を見込んでいる。
今後両社は、以下の取り組みを進めるとしている。
- 自治体との連携強化
防災計画にドローンを活用した物資輸送を組み込むための協議を実施。 - 技術改良とスケールアップ
より多くの物資を迅速に輸送できるシステムの開発。 - 教育プログラムの充実
小中学生向けのドローン講座や体験プログラムを展開し、次世代の技術者育成を促進。 - 建設・解体工事への応用
大規模クレーンの進入が難しい場所でのドローン運搬サービスの展開。
使用機体スペック
【Motte2】
最大積載重量 | 25kg |
機体重量 | 17.5kg |
サイズ | 700×2,760×2,760mm |
バッテリー規格 | リチウムイオン16セル25,000mAh×1個 |
その他機能 | フェールセーフ機能/バッテリー電圧降下警告/自動着陸/送信機と通信切断時ホバリング/高度維持機能/速度維持機能/GNSS・Lバンド併用/防塵・防水・防滴機能 |
運用性能 | 最高速度70km/h/最大到達高度500m/最大飛行距離2,000m/電波到達距離2,000m/飛行可能風速最大7m/s/最大飛行時間30分(バッテリー残量最大20%)/使用可能温度5~40℃ |
【XYZ55】
最大積載重量 | 55kg |
機体重量 | 22.5kg |
サイズ | 790×3,190×3,190mm |
バッテリー規格 | リチウムイオン16セル25,000mAh×2個 |
その他機能 | フェールセーフ機能/バッテリー電圧降下警告/自動着陸/送信機と通信切断時ホバリング/高度維持機能/速度維持機能/GNSS・Lバンド併用/防塵・防水・防滴機能 |
運用性能 | 最高速度70km/h/最大到達高度500m/最大飛行距離2,000m/電波到達距離2,000m/飛行可能風速最大7m/s/最大飛行時間30分(バッテリー残量最大20%)/使用可能温度5~40℃ |