旭テクノロジー(以下、ATCL)は、2025年2月7日に同社が管理する太陽光発電施設において、「DJI Dock2」を活用した遠隔操縦ドローンによる監視システムの公開検証を行った。
この検証には、兵庫県、NIRO(新産業創造研究機構)、損害保険会社、石油会社等の関係者が参加し、ドローン技術が太陽光発電施設のセキュリティ向上にどのように貢献できるか検証した。
太陽光発電施設の銅線ケーブルの盗難の増加により、損害保険会社の新規受け付け停止や、太陽光発電施設保有者の施設修理費用の負担増、保険未加入状態での発電施設運用などが懸念されている。
検証内容
従来の固定監視カメラでは、設置場所により確認できない状況が多く、特に夜間や広大な敷地では警備上の課題があった。 今回の検証では、DJI Dock2を活用し、ドローンを遠隔操作することで「移動監視カメラ」としての有効性を調査した。
【検証ポイント】
- ドローンによる遠隔監視の有効性
- 赤外線カメラを活用し、夜間でも隠れている不審者を確認することが可能か
- ドローン監視により保険会社の責務、免責金が軽減される可能性
【使用機材】
- DJI Dock 2
- DJI Matrice 3TD
- Starlink
検証結果
定時ごとの自動飛行による巡視、不審者発見時の遠隔手動飛行を行い、ドローンによる遠隔監視が有効であることを確認した。
【ドローンによる遠隔監視の有効性】
あらかじめドローンに自動飛行ルートを設定して、定時ごとに自動飛行を行い不審物や不審者がいないか巡視し、遠隔監視の状況でも安定して飛行できることを確認した。また、異常があれば自動飛行を中断して遠隔手動飛行に切り替え、不審者まで接近して状況を把握できることも確認した。
事前に設定した2つの飛行ルートは、Aプラン「発電施設の外周を巡視」、Bプラン「パネル裏等、不審者が隠れそうな箇所を機体の高度、カメラチルトを調整し巡視」を想定している。
両プランとも、遠隔監視のもと設定通り飛行することができた。
【赤外線カメラを活用し、夜間でも隠れている不審者を確認することが可能か】
夜間に不審者を敷地内で発見し、赤外線カメラで不審者を追跡できることを確認した。
検証の結果、ドローンによる監視は従来の固定カメラよりも広範囲をカバーできることがわかった。また、赤外線カメラを搭載することで、夜間においても不審者を発見できることを実証した。これにより、発電施設の警備コスト削減や効率化が期待される。ATCLは今後、ドローン監視システムの本格導入や制度設計を進めるとしている。