2024年11月26日、アンリツとイー・エム・シー・ジャパン(以下、EMCジャパン)は、ACSLが取り組みを進めているドローンの第一種型式認証取得に必要な検査環境を提供し、耐電磁干渉環境評価試験系の確立に協力したことを発表した。ドローンに影響を与える強力な電磁波を発生させる高強度放射電界(HIRF)環境を提供した。
ドローンの第一種型式認証は、立入禁止措置を講じることなく行う特定飛行(※1)をするために必要な、ドローンの第一種機体認証を国土交通省に申請する際に、検査の全てまたは一部を省略できる認証制度。この型式認証の取得に必要な検査要領は、国土交通省が発行するサーキュラーNo.8-001(※2)に規定されているが、型式ごとに運用方法と設計の特徴が異なることから、具体的な検査方法は申請者と審査者で協議の上決定される。
第一種型式認証を取得するためには、実運用時に想定される環境下での評価が求められる。例えば、レーダー等の高出力機器付近での運用が想定される場合、高出力妨害波がドローンの機体動作に与える影響やその影響に対しての機体挙動を検証する必要がある。この評価によって、ドローンが高出力機器にどれだけ近づけるかを明確にし、その結果を飛行規程(取扱説明書)に記載する。
今回の評価対象となる機体では、機体状態や搭載カメラ映像のデータ送受信にLTE通信を採用。EMCジャパンのテストサイトで、アンリツのシグナリングテスタMD8475B(※3)を使用することで、ドローンに高出力妨害波を印加した条件下で、LTEの通信状態を確認することが可能となった。
※1 特定飛行:特定の条件下での飛行を指し、国土交通大臣の許可や承認が必要。具体的には、空港周辺やイベント会場の上空、高度150m以上の飛行、緊急用務空域(災害現場など)、人口集中地区(DID)の上空での飛行が含まれる。夜間飛行、目視外飛行、人や建物から30m未満の飛行、危険物の輸送や投下(農薬散布など)も特定飛行に該当する。
※2 サーキュラーNo.8-001:国土交通省のサーキュラーは、航空機や装備品の安全基準や環境基準に関する指針を示す文書。サーキュラーNo.8-001は、無人航空機(ドローン)の型式認証のための検査要領を定めている。
※3 シグナリングテスタMD8475B:基地局と無線通信デバイスのさまざまな通信状況を再現する基地局シミュレーター。