愛知県は、2024年12月5日から12月26日まで、名古屋市中区栄地区において自動配送ロボットを活用したラストワンマイル配送実証実験を実施する。12月17日には見学会も開催する。

 岐阜県内で栽培されるイチゴを高速路線バスで栄地区まで輸送し、栄バス停から最終配送先までのラストワンマイル配送を自動配送ロボットが行う。

 同実証は2023年度に引き続き実施するもので、2024年度は公安委員会への届出制に基づいて行うほか、自律走行するロボットを遠隔監視で運行する。また、都心部の複数の場所へ配送することで事業化に向けた課題を明らかにするとともに、新たな配送モデルの確立を目指す。

実証実験について

 貨客混載型の高速路線バスで、岐阜県可児市から栄バス停留所まで輸送したイチゴを、自動配送ロボットが栄地区内のホテルや百貨店等まで配送する。

生産地よりイチゴを高速路線バスで停留所まで運び、自動配送ロボットに積み替えて最終配達先に運ぶ過程を表した図
実施イメージ

2024年度の実証実験の特徴

1. 県公安委員会への届出制による実施​

 改正道路交通法(2023年4月施行)により、自動配送ロボットは「遠隔操作型小型車」として定義され、一定の条件を満たす場合、道路使用許可を得ることなく、公安委員会への届出によって公道を走行することが可能となった。本実証実験では今後の事業化を見据え、県公安委員会への届出により実施する。

2. 遠隔監視による自律走行

 自動配送ロボットを公道で走行させる場合、緊急時に停止措置等を行えるよう、スタッフをロボットの近くに配置する「近接監視」、離れた場所から監視を行う「遠隔監視」による方法がある。本実証実験では、今後の事業化を見据え、遠隔監視により走行させる。遠隔監視オペレーターは、事業委託先の中電ウイングの従業員が担い、遠隔監視オペレーションの習熟および検証を行う。

3. 高速路線バスとの連携

 高速路線バスの荷室に積載したイチゴは、栄バス停に到着後、バスの停車時間中にロボットへ速やかに積み替える必要がある。そこで、農産物の輸送に必要な保冷・緩衝機能と、バスからロボットの荷室に一気通貫で積み替え可能なサイズを両立した積載ボックスを製作した。このボックスによる運用を行い、スムーズな荷物のやり取りと輸送品質の両立についての検証を行う。

4. 複数配送先への配送

 都心部の複雑な交通環境における円滑な走行と社会的受容性の醸成を目指すため、複数の配送先への配送を行う。

実施概要

実施日程 :2024年12月5日(木)~2024年12月26日(木)のうち、平日16日間
配送先・配送ルート :栄バス停でロボットに荷物を積み込んだ後、配送先へ配送
配送品 :イチゴ、イチゴ加工品

地図に示した配送ルート
配送ルート

【配送スケジュール】

名古屋東急ホテル12月5日(木)、13日(金)、18日(水)、23日(月)
パントリー マルエイガレリア店12月9日(月)、11日(水)、19日(木)、24日(火)、25日(水)、26日(木)
サンドイッチハウス メルヘン 名古屋サカエチカ店12月10日(火)、16日(月)、20日(金)
松坂屋名古屋店 右大臣コーナー12月6日(金)、12日(木)、17日(火)


【使用ロボット】

・ZMP製「DeliRo(デリロ)」

 カメラやレーザーセンサーで周囲環境を360度を認識しながら、最大時速6kmで屋内外を自動走行可能な配送ロボット。

写真:デリロの正面斜め、側面・背部の外観
ZMP製「DeliRo」

・ZMP製「ROBO-HI(ロボハイ)」(遠隔監視システム)

 ロボットの遠隔監視は、マルチロボOS「ROBO-HI(ロボハイ)」で実施する。ロボハイを利用することで、ロボットのセンサー情報やカメラ映像を確認しながら遠隔監視が可能。

ロボハイの遠隔監視画面
ZMP製「ROBO-HI」

 ロボットは自律走行するが、遠隔地から停止させたり進ませたりするなど、さまざまなマニュアル操作も可能。

見学会について

 自動配送ロボットの活用に興味・関心のある小売事業者や物流事業者などを対象に、見学会を実施する。

日時 :2024年12月17日(火)13:20~14:40(受け付け開始:13:00)
会場 :愛知芸術文化センター12階 アートスペースE・F

内容

事業説明
(ア)愛知県自動配送ロボット社会実装推進事業
・愛知県経済産業局産業部産業振興課次世代産業室
(イ)自動配送ロボットを活用したラストワンマイル配送実証実験
・中電ウイング いちご事業部 課長補佐 近藤貴博氏
・ZMP 営業部 プロジェクトマネージャ 島中洋輔氏

実証実験見学
・栄バス停~松坂屋名古屋店
※ロボットが走行する様子を現地で見学。

対象 :自動配送ロボットの活用に興味のある企業・団体
定員 :20名(申し込み先着順)※定員に達し次第締め切り
参加費 :無料
申し込みページ https://forms.office.com/r/8L9BK1YRhL
申込期限 :2024年12月12日(木)17:00

岐阜県ドローン物流実証事業との連携

 岐阜県内のファームから高速路線バスの出発地までの区間、通常のトラック輸送に代わり、ドローンによる輸送実験を行う(12月11日のみ実施予定)。

 この取り組みは、中電ウイングが岐阜県事業である「岐阜県スマート物流推進協議会 ドローン物流実証事業」の採択を受け、可児市等の協力のもと実施。人口集中地区を含む同市内の河川上空のルートをドローンが飛行する。

 飛行経路は、生産農場の中電ウイングファームから、東鉄バス可児営業所まで、全長8.9km。輸送品は、イチゴ10パック(約2.5kg)。

地図に示した飛行ルート
飛行ルート
実証事業の概要図