愛知県は、同県が推進する「あいちモビリティイノベーションプロジェクト「空と道がつながる愛知モデル2030」」において、ドローンを活用した物流サービスの長期事業化調査を実施する。
愛知県では、ドローンや空飛ぶクルマ等の次世代「空」モビリティの社会実装の早期化を図るとともに、自動運転車等の「陸」モビリティとの同時制御により創出される新しいモビリティ社会「愛知モデル」の構築や、次世代「空」モビリティの基幹産業化を目指す、あいちモビリティイノベーションプロジェクトを推進している。
2024年2月に策定した「推進プラン」で掲げる物流ドローンの社会実装初期のビジネスモデルとなる「ローンチモデル」の実現に向け、2024年度は、西尾市・新城市において、物流ドローンを活用した配送サービスをユーザーへ約1か月間提供することで、実際の社会実装を想定した課題の抽出・分析を行う。
今回の調査は、2024年10月に実施した西尾市での長期事業化調査に続き、新城市で行うものとなる。実施期間は、2024年11月27日から12月26日まで。河川上空を航路としたドローンによる配送を、1日複数回実施する予定だ。
検証内容
推進プランでは、物流分野における2026年度頃をめどとしたローンチモデルとして、河川流域や本土離島間を航路とした物流サービスの実現を掲げている。社会実装には、収益性や運航体制といった、実際のビジネスシーンで発生する事象を視野に入れた検証を行う必要がある。そこで、物流ドローンを活用した配送サービスをユーザーへ約1か月間提供する実証実験を実施することで、社会実装に向けた課題を整理し、マネタイズできる事例を創出する。
この調査では、河川上空を航路として複数の目的地を設定し、発注に応じて日ごとに異なる目的地へ配送する。配送物と目的地によっては、一度の飛行で複数の目的地へ連続的に配送する。将来的なエリア配送を見据え、運用効率向上を図るビジネスモデルを想定している。
市街地から山間地には医薬品や日用品、弁当等、山間地から市街地には農産物等を配送する。
【検証項目】
・飛行プラン自動作成システムを用いて、効率的な飛行ルートを作成できるか。
・複数の目的地へ連続的に配送することで、飛行効率・運用コストを検証。
・着陸地点に設置するウェブカメラによる周辺情報とウェブによる環境情報を使用した離着陸オペレーションを行い、安全性や運用コストを検証。
・西尾市の調査に続き、省人化を意識し、タブレットを活用した操縦機体の専門的な知識や技術を有しないパイロットの運航による運用コストを検証。
・飛行方法は西尾市と同様に、レベル3.5飛行で実施する。
【使用予定ドローン】
プロドローン製「PD6B-Type3」
・本格配送用機体
・推奨最大積載重量:20kg
・第一種型式認証申請機体のベースモデル
【実証スキーム】
【飛行ルート】
新城市有海と副川・玖老勢・只持を結ぶ最大11kmのルート。
【山間地側離着陸場所(予定)】
(1)静巌堂医院周辺(副川地区)
(2)山びこの丘グラウンド(玖老勢地区)
(3)玖老勢区民広場(玖老勢地区)
(4)荷互奈(只持地区)
【市街地側離着陸場所(予定)】
(5)ブリッジ英語学院裏私有地(有海地区)
【実施体制】
名古屋鉄道に事業委託し、同社を幹事会社とする企業グループで事業を実施する。
名古屋鉄道 | 事業総括、関係者調整等 |
プロドローン | 機体提供、運航 |
中北薬品 | 物資協力、機体操縦・運航 |
愛知東農業協同組合 | 物資協力 |
生活協同組合コープあいち | 物資協力 |
東三河ドローン・リバー構想推進協議会 | 実証実験協力 |