建設コンサルタントの長大は、空飛ぶクルマの社会実装に向け、各自治体で導入可能性調査や社会受容性の向上に取り組んでおり、今回、和歌山県で実証飛行、宮城県でデモ飛行を実施した。

和歌山県串本町での実証飛行

写真:海の近くを空飛ぶクルマが飛行する様子
和歌山県串本町での飛行の様子

 同社は、和歌山県から受託した「令和6(2024)年度『空飛ぶクルマ』の運航実現に向けた社会受容性向上事業」の一環として、空飛ぶクルマの実証飛行イベント、および社会受容性向上に向けた機運醸成イベントを、2024年9月21日に和歌山県串本町で実施した。

 当日は、潮岬望楼の芝に約600人の観衆が集まる中、1回目は無人、2回目は振動やノイズなどを調べる検査員1人が乗り込み、約4分間ずつ飛行した。

 この実証実験は「和歌山県版『空飛ぶクルマ』運航実現に向けた和歌山県版ロードマップ・アクションプラン」に基づき、社会受容性の向上を目的として実施したもの。

 実証飛行後は、隣接する南紀熊野ジオパークセンターで機運醸成イベントを開催。高校生による発表会も行われ、串本古座高校宇宙探究コースと同校CGS(Community General Support)部の学生11人が「高校生が考える空飛ぶクルマの活用とは」をテーマにプレゼンテーションを行った。

写真:飛行会場の様子

宮城県利府町でのデモ飛行

写真:空飛ぶクルマが飛行する様子
宮城県での一般公開飛行の様子

 宮城県から受託した「令和6(2024)年度 空・陸次世代モビリティ実証調査・情報発信業務」の一環として、2024年9月29日、宮城県利府町で空飛ぶクルマのデモ飛行イベントを行った。

 このデモ飛行は、宮城県での自動車関連産業のさらなる集積・進化・発展の実現を目指し、ものづくり人材のすそ野を広げるとともに、次世代空モビリティの実証調査・情報発信を通じて、地域社会と宮城県民の次世代モビリティに対する受容性の向上を図ることを目的に実施したもの。

 会場となったグランディ21・キューアンドエースタジアムには約600名の一般客が集まり、1回あたり約4分間、有人で2回、無人で2回飛行を実施した。

写真:飛行会場の様子

 空飛ぶクルマ事業の実現には、制度設計・整備、導入・評価、実装、展開のフェーズがあり、事業の成功には制度設計・整備、導入評価が重要だと同社は考える。総合建設コンサルタントである同社は、そのノウハウや実績を空飛ぶクルマ事業にも活用するとしている。空飛ぶクルマの社会実装に向け、導入可能性調査や社会受容性の向上に取り組む。

 空飛ぶクルマの社会実装には、国民が認知し、社会に受け容れられる必要がある。同社は地域社会とのネットワークを築き、共創を図ることで、空飛ぶクルマの社会実装を地域課題の解決、地域の活性化につなげる方針だ。

飛行機体「EHang216」

 垂直離着陸が可能なVTOL機(Electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)であり、滑走路などを必要とせずに飛行させることができる。機体の駆動には電動モーターを使用。運航時は、あらかじめ設定した飛行ルートを、自律システムによる自動飛行および遠隔操縦により飛行する。

機体名EHang216(EHang社)
航続距離30km
全幅5.75m
全高1.93m
最大乗員2人
最大重量220kg
最高高度500m