2024年4月3日、損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)は、「空飛ぶクルマ事業者専用賠償責任保険」を開発し、販売を開始したことを発表した。

 空飛ぶクルマは、世界的にはeVTOL(垂直離着陸機)と呼ばれ「航空機」に分類される。垂直離着陸が可能で滑走路が不要、電動、将来的な操縦の自動化等の特徴を持つ。ヘリコプターに比べて電動化による製造コスト・運用コストの低減が見込まれ、世界的普及が期待されている。

 空飛ぶクルマの国内における社会実装と普及には多くの課題があり、事業者が抱えるリスクは機体の運行リスクだけでなく、機体製造やポート管理に関わる賠償責任等多岐にわたることもその一つである。

 同社は、空飛ぶクルマ事業に参入する事業者が抱えるリスクを幅広くサポートすることで事業化を促進し、新しいモビリティ社会の発展に貢献するため、空飛ぶクルマ事業者の賠償リスクを包括的にカバーする空飛ぶクルマ事業者専用賠償責任保険を開発した。

 同商品固有の海外の再保険会社との再保険スキームを新たに構築することで、参入事業者を安定的かつ長期的にサポートできる保険制度としている。

空飛ぶクルマ事業者専用賠償責任保険 概要

 機体、部品、その他関連機器等の製造・加工・整備・販売に関わる製造物責任やバーティポート(空飛ぶクルマ専用の離着陸場)の管理運営に関わる賠償責任等を包括的に補償する。

<対象となる主な業種>

 機体、部品、その他関連機器などの製造加工メーカー、修理業者、販売商社、格納庫管理者、バーティポートの管理・運営業者など。

<補償概要>

【生産物リスク】
 機体の一部または機体に関連し、被保険者が製造・修理・提供・販売・供給などした製品や仕事の結果に起因して発生した事故が原因となり、第三者に身体障害・財物損壊を生じさせたために、被保険者が法律上の損害賠償責任を負担する場合に被る損害を補償する。

【施設管理・業務遂行リスク】
 被保険者がバーティポート敷地内外の施設の使用・管理あるいは各種業務遂行に起因して発生した偶然な事故により、第三者に身体障害または財物損壊を生じさせ、法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害を補償する。

【格納庫管理者リスク】
 格納庫またはタイダウンスペース(機体固定スポット)で保管・管理・整備等をするために受託した他人の機体等の損壊について、被保険者が法律上の損害賠償金を負担することによって被る損害を補償する。

<補償される損害と費用>

1. 損害賠償金
 身体障害:治療費、入院費、慰謝料、休業補償など。財物損壊:損害が生じた財物の修理費、再調達に要する費用など。

2. 争訟費用
 訴訟・和解等のために支出する弁護士費用等の費用。